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完全自由で生きられますか?

プロ奢ラレヤーという人の本を読んだ。Kindle Unlimitedで配信していたからである。

プロ奢ラレヤーとは何者か。以前から存在だけは認知していた。twitterフォロワー11.4万人(2022年6月時点)を抱える、ちょっとした有名人である。

NHKの番組などで取り上げられて有名になった、「レンタルなんもしない人」の元祖と言われる。

レンタルなんもしない人は、「時間を貸し出す」ということをやっているけれど、「奢ラレヤー」の活動内容は、ただ「知らない人に食事を奢られる」だけである。

奢る側には特にメリットはなさそうに見えるが、少なくとも「奢られ」をメインに生活をしている人はそうそう身の回りにいないため、そういう生活をしている人と会って話ができる、というのを売りにしているわけだ。

「奢られ」の側は、食事を奢られるだけでなく、その場で珍しい話を仕入れ、それをnoteなどで有料販売することで糧を得ているようだ。つまり、「販売」と「仕入れ」を同時に行なっている(行為が同じ)であるわけで、非常に効率のいいビジネスであることがわかる。
 
とはいえ、正直に言うとあまり好きではないタイプではあった。こういう活動をしていることから、アンチも結構たくさんいるようだ。しかし、よくよく考えてみると、考え方やライフスタイルが嫌いというよりは、どちらかというとただ単に見た目が気に入らない、というだけであり、やっている内容自体は別に批判されるようなものではないと思った。
 
少なくとも、「奢られる」というのは特殊な才能がないとできない。それでいて、「奢られること」に資格などもいらないので、「奢られ」で生計を立てたい人は今日からでもできる。

もちろん、奢る価値のない人にわざわざ奢る人はいないので、「奢られ」の人は、奢るだけの価値ある「何か」を持っているのだろう。そして、それがなくなってしまったら奢られなくなるわけだから、大変に違いない。

「仕入れと販売が一体化しているので、それがなくなってしまうと、両方とも絶たれてしまうからである。効率がいいが、効率がいいがゆえになかなかリスクの高いビジネスモデルと言える。


 
学生の頃は、小説を書いたり音楽を作ったりするのが最大の楽しみだった。というのも、学校の授業や、バイトの時間が苦痛で仕方なかったからである。

特にバイトは基本的に創造性のない仕事であり、仕事中は当然ながら仕事以外のことをすることは許されない。だが、バイトの時間、拘束されることで、「家に帰ったら創作をしよう」と創作意欲を高める効果があった。

いまは普通に会社員をやっているが、仕事はそれなりに創造性があり、面白いので、バイトのときほどは創作意欲が刺激されない。思えば、学生時代のあの頃は、拘束されることが最大のストレスではあったけれど、そのストレスが原動力となって、いろんなものを作る意欲につながっていたかもしれない。


 
そんなわけで、平凡な日常ではあるものの、意外と適度にストレスのある会社員の生活が好きなのかもしれない。多くのアンチが感じるように、「アイツ、好き勝手に生きやがって」と嫉妬(?)の感情は特に湧いてこない。

「自由に、お好きなようにどうぞ」と言われても、大抵の人は持て余してしまうものである。「自由すぎること」って、そこまで自分は興味がないな、と。

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