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バランスを考えるほうが大変

サイバーエージェント創業者の藤田晋が会社を興したとき、当時一緒に起業した日高という人と、「週110時間働こう」ということを決めたと言う。週110時間。平日は朝9時から夜中の2時まで働き、土日はそれぞれ12時間ずつ。それぐらい働くと達成できる目標なのだとか。
 
それを初めて見たとき、完全にブラックというか、何を考えてそんな目標立てたのかなと思ったのだけれど、その背景が知ると、意外と納得するところがあった。

というのも、創業したての会社というのはもちろん仕事がまだないので、かなり暇なのだそうだ。だから、藤田晋と日高氏は毎日、時間を限界まで使って営業活動と企画会議と勉強会を行い、新しい事業を次々に企画して実行していったのだとか。
 
週に110時間働くと、仕事以外のことに時間を使うのが物理的に不可能になるので、その時期は「仕事に完全集中」できるようになるのだとか。集中どころか、ここまでいくと「没入」に近い。
 
確かにそう言われてみると、なんとなく納得というか、少なくとも「やらされている仕事」ではなく、自ら行う「能動的な行動」だから、ありなのかな、というような気もしてくる。

僕も仕事が立て込んでくると、仕事のことしか考えないような日が続くことがある。今の仕事では全くないが、前職では本当に修羅場になると家に帰ることもほとんどなく、会社に泊まり込むような日々が続くこともあった。

もちろん体力的にはハードだが、結構そういう時って、もう「バランス」がどうだとか考える必要がなく、目の前の仕事だけを考えていればいいから、あんがい精神的には楽だったりする。

仕事が忙しいのに休日もちゃんと取ったり、趣味の時間、友人づきあいなんかもやったりしていると、逆に体がガタガタになるというか。「バランスを取る」のって結構大変なんだな、と思う。
 
藤田進が週110時間働くという物理的な限界に挑戦したというのは、単に長く働けばいいというものではないのはわかった上で、「それしか考えない時期を作る」という意味では、結構効率的な時間の使い方のような気がする。

受験勉強とか真面目にやった人は、納得する部分もあるのではないだろうか。というか、受験勉強こそ真のブラック労働だと思う。睡眠時間以外ほとんど勉強に費やす人もいるぐらいだし。

受験勉強しながらテレビゲームをするなんていう人がいたらかなり器用だ。勉強しなければいけない時期は、勉強しかしないほうがまだ効率は良いような気がする。

仕事に集中したいときは本当に仕事だけしていたいぐらいなのだが、なんか時代がそういう時代じゃないのか、土日とかも会社にいたりするとかなりおかしい人だと思われるんですよね。

僕としては、働くべき時期はばっちり働いたほうが気持ちが良いのだけれど、今の時代では異端なんでしょうか?

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