なぜ山に登るんですか?
2015年に封切られた、エベレストに登頂する映画を見た。
名前はそのまんまで、「エベレスト」。最近アマゾンプライムに追加されたらしく、おすすめに浮上してきたので見てみることにした。
90年代に実際にあった、エベレストでの集団遭難事件を題材にしているらしい。
ニュージーランドの冒険家が中心となったエベレスト登頂のための旅行会社があり、その冒険家を中心として、エベレストの商業登山の「顧客」たちを取り巻くストーリー。
遭難事故を題材としているということははじめからわかっているので、このうちの誰かが遭難するんだろうな、ぐらいの感じで見始めたのだが、ドキュメンタリータッチの淡々とした展開で、逆に手に汗握る内容となっていた。
見終えたらしばらく放心してしまう。そんな感じの映画だった。
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登山というのは、僕が最もよく知らないジャンルのひとつだ。
なぜ登るのか? なぜ死者が出るのか? そういった基本的なところから、全然何もわかっていない。
30歳をすぎてもまだこの認識だから、僕は根っからの「登山しない人」なのだろう。少なくとも現時点においては。
危険を賭して、最高峰を目指す。冒険家という職業は、前人未到の冒険に身を投じ、それに賛同してくれるスポンサーによって活動資金を得る。
エベレストも、かつてはそのような「冒険」の対象だったが、冒険家によって登山ルートが確立されるにしたがって、人類にとっての「挑戦」の対象ではなくなった。
代わりに、「商業登山」、つまり一般の顧客を募って、ガイドしながら登頂するというのが勃興してきたらしい。この映画はその過渡期というか、「商業登山」が一般化しつつあるときに起きた事件をベースにしている。
もちろん商業登山とはいっても、素人ではなく、名だたる高峰に登頂経験のある人ばかりが集められている。登頂までに、4ヶ月におよぶトレーニングもする。それでも、全員が「冒険家」と言えるレベルではない。
危険な登山では、レベルに違いのある大勢の登山よりも、経験豊富な少数精鋭のほうが安全性は高いらしい。
「顧客」として金を払って登山している人々は、それぞれにそれぞれの思いを抱えて、世界最高峰を目指す。その思いが、判断を誤らせることもある、ということを感じさせる映画だった。
標高8000メートル以上の世界は、まさに「死の世界」だ。酸素が薄いため、身体を慣らしていないと、そこにいるだけに死に到ることもあるらしい。さらに、そこに極寒の吹雪が降り注ぐ。
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人はなぜ山に登るのか? 「そこに山があるから」というのは有名な答えだ。
しかし、多額のお金を払って、命を投げ打ってまで登る価値があるのか? 「価値」などということを言う人はきっと、登らないだろう。それだけは確かだ。
山を登ること、それは、登る人にとっては、人生そのものなのだろう。
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