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手段を「目的」にしちゃえ

よく「手段と目的を履き違えるな」という言葉を聞く。

目的を達成するために手段があるのであって、手段は変更できる。手段にこだわるあまり、その手段を達成することが目的になってしまい、本来の目的を見失うことがないように、と言う定番のお叱りである(笑)。

これで叱られた人はいないのではないだろうか。僕など、何回言われたのかわからないほどだ。
 
確かに、動いているうちに目的を見失うことは多い。掲げているのが困難な目標であればあるほど、その目的を達成するために必要な手段はまわりくどくなる。

昔のRPGなどでよくあったのだが、あそこに行くためにはこのアイテムが必要で、このアイテムを手に入れるためにはこのイベントをクリアする必要があって、このイベントをクリアするにはこの武器が必要で……、などと、とにかく、ひとつの目的を達成するために必要なタスクが無数に提示される。
 
とはいっても、そのひとつひとつは手段にすぎず、手段はいくらでも変更可能だ。変更しても良いのだが、その手段に固執するがあまり、本来の目的を見失ってしまう……というのがよくあること、ということですね。

手段を目的にするなとはよく言われるのだが、手段を確立した段階で、それも目的の一部になるのでは? とよく思う。

つまり、あそこにたどり着くためにはこういうことをしなければならないので……と考えた段階で、それも目的の一部になるような気がするのだ。

だから、「手段を目的化するな」というのは矛盾している。むしろ計画を立てることは、「手段を目的化する」行為だからだ。
 
何か新しいことをやろうとすると、計画を立てた通りには絶対にうまくいかない。イレギュラーな事態というのは次々に発生するので、その都度、手段を変えていかなければならない。

でもかといって、壁にぶつかるたびに手段をコロコロ変えていたら、うまくいくものもいかないこともある。さあ困った。どうしたら良いのだろうか。
 
僕も最近、この手の問題に悩まされているというか、新規事業などを担当することが多いので、基本的に常にこの状態にある。
 
最近導き出した結論はシンプルだ。
 
ある目的のために手段を思いついたら、計画を立てるわけだが、「どのぐらいやるのか」を事前に決めておいて、「なにが起きてもそれは実行する」。

つまり意図的に「手段を目的化」する。で、とりあえずやり切ってしまってから、それが本当に「目的のために有効であったか」を検証する。その上で次の計画を立てる。これを繰り返す。
 
営業の計画に例えるとわかりやすいだろうか。売上を新規に1000万円つくるために、アポイントを月に20件入れることにした。売上が本当にあがるかどうかというのは、スポーツにおいて「試合に勝てるかどうか」と同じぐらい不透明だ。

しかし、アポを20件入れることは、頑張ればできる。だから、とりあえずアポを20件とることにこだわって、達成しよう、と。効果があったかなかったかは、そのあとで検証したらいい。
 
目的のために立てた手段が本当に正しいかどうかなんて誰にもわからない。それこそ、やってみないとわからないこともある。

だからこそ、その目的を達成するために考え出した手段は、それを実行することに徹底的にこだわったほうがいい。できれば努力すれば達成できるものにしたほうがいいと思う。

そうすれば、途中で嫌になって投げ出したりせずに、とりあえずその手段として立てた目的は達成できるようになる。それで少しずつ、「実績」を積み重ねて、最終目標ににじり寄っていくしかない。

やってきたことがぜんぶ無駄だった、ということも当然あるだろう。でも、それでいい。「無駄だった」とわかるのは、「計画を立てて、やり遂げた」からこそ言えることだ。やりもせずに「無駄」なんて、口が裂けても言ってはいけない。

参考になるのはスポーツ選手の練習メニューだろうか。

スポーツ選手は本当に大変だと思う。試合の結果が全ての世界だから、勝たなければならないのだが、どれだけ勝利を祈願して、念じても、勝敗には影響しない。

日々の練習は結構地味だし、本当にその時やっている練習が結果に結びつくかどうかなんて誰にもわからない。けれど、自分に課したトレーニングを消化することが結果に結びつくのだと信じて、きっちり「完遂」して前に進んでいるのだろう。仕事もスポーツだと思えば、参考になるところはある。
 
僕はほとんどサッカーを見ないが、本田圭祐のインタビュー見ていたら、似たようなことを言っていた。一流の選手ほど練習風景は地味だと。地味だが、それをきっちり完遂して積み重ねていくことで結果につながっていくと。
 
計画を立てることと実行する事は切り離して、自分で決めたことをきっちりやり遂げる。そういったことが大事になるのかな。

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