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「たったひとつの椅子」を見つければいい

座右の銘というほどではないのだけれど、人生に必要なものって、たいていは「探し続ければ見つかる」ような気がしている。たいていの人は探す根性がないというか、探し方が足りないことが多いのではないか、と思う。少しそれについて書いてみたい。

いま僕が住んでいる家は賃貸だが、結構探すのに苦労したと思う。奥さんと結婚するにあたり、同居できる家を探すことになったのだが、中央線沿線で探してみたものの、なかなか条件に当てはまる家がなかった。

奥さんは猫を飼っていたのだが、意外と猫が入居可能な物件が見つからなかったのだ。不動産屋をいくつもまわり、何か月もかけて探した。結局、いまの家を見つけたのは「偶然」なのだけれど、決まるときはあっさり、満場一致で決まった。ひと目みて、「ここだ」ということになり、その足ですぐに契約をした。

探すときは平米単価などを計算して、条件なども細かく見ていたのだけれど、最後は「フィーリング」だった。しかし、それだけ頑張って探した甲斐はあって、もう3年ほど住んでいるが不満はない。

少し前に転職活動をしたが、そのときも求人を見まくった。毎日8時間を転職活動に充てることとし、とにかく徹底的に求人に目を通していた。そうすることで、感覚が研ぎ澄まされた感はあったかもしれない。

たいていのものは、「たったひとつを見つけるだけ」でいい、と考えると気が楽になるかも。転職活動なども、もしいまの自分が非常に条件面で厳しい状態だったとしても、自分にとっての「いい会社」が1社あればそれでいいのだから、どういう状況でもなんとかなる気がしないだろうか。

調べてみたら、日本には株式会社が200万社以上あるらしい。たとえ100社面接で落ちても、まだ200万社以上あるのだ。しかも、そのうちのたった1社の「いい会社」から内定をとれればいい。そう考えると、実に簡単な話に思えないだろうか。

結婚相手も似たようなものだ。日本人は職場結婚が多いらしいが、職場で結婚相手として選べる範囲は非常に限られていて、おそらく普通の職場だったら候補は10人もいないのではないだろうか。

日本人だったら、とりあえず5000万人以上も異性がいるはずなのに、あえて自ら条件を狭め、たまたま近くにいるだけの10人の中から選ぶ、というのはおかしな話である。しかも、大量の異性から「モテる」必要はなく、たった一人の「いい人」からOKをもらえばいいだけなので、こんなに簡単な話はない。

新卒の就職活動でも、やたらと「自己分析」をする人がいるが、自分を分析したってなにも出てこないだろう。それよりは、1社でも多く説明会に行くなり、面接を受けるなりして「あ、この会社、面白そうだな」というのを見つけるほうがいいのではないだろうか。

そもそも、就職できるのは1社だけなので、内定が1社以上あっても意味はない。たまに大学生で内定の数を自慢している人もいるが、それはただのアホなので、気にする必要はない。

このように、人生はたったひとつの椅子を見つけるだけでいい、ということが多い。その中で勝敗を分かつのは、「どれだけ探したか」だろう。できる努力は、なんといっても「探すこと」。シンプルな話である。

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