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いい文章を書くコツは「遅く読み返す」こと

日々noteに文章を書いているが、自分で言うのもなんだけれど、誤字脱字はかなり少ないほうだと思う。もし発見した場合にはぜひ教えてほしいのだけれど、たぶんほとんどないのでは。

慎重に書いているとか、誤字脱字なんてしない性格だ、というのではなく、記事を書くときはかなり推敲して書いているのだ。推敲というか、むしろ読み返しながら書き直しているレベルである。初稿の段階では誤字脱字はもちろんあるのだが、文章に手を入れる過程でなくなっていく。そして、全体の分量は150%ぐらいになる。

推敲のやり方は、まず最初は目で読み返しておかしなところを修正するのだが、そのあとに音声出力しながら読み返す、ということを2回やる。まず最初はMacに搭載しているデフォルトの音声で出力する。次にVoicepeakという音声出力ソフトを使ってもう一度やる。

なぜ二段階あるのかというと、最初は修正すべき箇所が多いので手軽な内蔵音声を使ったほうが使い勝手がいいからだ。Voicepeakのほうが音声のクオリティがいいので、それを使って最終チェックをする、という感じ。なんだかんだ、最低でも4回ぐらいは読み返しては手直しをしていることになる。

それだけやっているので、誤字脱字の見落としはおそらくほとんどない。投稿してからスマホで読み返したりもしている。

文章を書くときでなにより大事なのは、「遅く読み返す」ことだな、と思っている。自分の書いた文章は自分の頭の中で言いたいことがわかっているので、読み返すときに目が滑って、見落としが多くなる。

小説なんかだと、こういった文章の比ではないほど読み返すため、よりそれは顕著になる。最終的には、ほとんど速読なんじゃないか、というレベルの勢いでページを繰っていく。なので、そういったことを防ぐために紙に印刷したりするのだが、紙に印刷しても本質は変わらない。やっぱり、読み慣れている文章は目が滑ることだろう。

「遅く読む」ための一番の手段は音声出力だろう。どうしてもそれができない状況の場合は、どんなに小さな声でもいいので、自分で声を出して文章を読みあげるといい。いまのところ、それが一番効果がある。

書くときの脳と、読み返すときの脳って全然違うんだな、と最近はすごくよく思う。文章を書くときは、テーマについて思考をしながらそれを言語化し、さらにそれをタイピングするという別々のみっつのことを並行して行なっている。

なので、あとから読み返してみるとおかしな文章になっているが、書いている最中には全くそれに気づかない、ということが往々にして起きる。

最近はメールやチャットなどを仕事で使うことが増えたため、現代人はこれまでの世の中で一番「テキストを書く」ことを求められていると思う。

メールやチャットでも文意の読み取りづらい人というのはいるものだが、どんなに短いチャットやメールでも、最低一度は小さく声に出して推敲することをおすすめする。そうすれば、かなり仕事も効率的になるはずだ。見落としによるコミュニケーションロスをなくし、無駄な往復がなくなれば、それだけで仕事の評価もあがる、というものである。

それだけたくさん推敲するのは、いい文章に仕上げたいからというよりは、単純に自分の思考をよりブラッシュアップできるから、という面が大きい。とりあえずガーッと一気に出力してしまってから、推敲しながら考えをまとめていく。その行為が面白いので、いまもこうして文章を書いているのかも。

いったん書き上げた文章は一切読み返さない。なので、過去に似たようなことを書いている記事はいくらでも見つかるだろうけれど、こちらも毎日書き続けているので、それでいいと思っている。

いちど咀嚼し、胃に送り込んだものをまた口に戻して咀嚼することを「反芻はんすう」といい、それをやる習性がある動物のことを「反芻動物」というが、まさにこれは自分にとって思考の反芻である。究極的には、これを繰り返すことでしか知性は磨けないのではないか、とさえ思っている。

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