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ラーメンと鉄道に共通点はありますか?

ひたすらラーメンを追求することで異彩を放つラーメン漫画シリーズ、「らーめん再遊記」を読み返している。やはり面白い。

漫画はある程度時間が経ってから読み返すと、こんなシーンもあったな、と懐かしく振り返りながら読み返せるので好きだ。自分はむしろ、はじめての漫画を読むよりも、お気に入りの漫画を読み返すほうが好きなタイプかも。

特にこの漫画は、ラーメンについていろいろな角度から突き詰めている作品で、かつ「ラーメン店を経営する」ということについてもテーマの広がりがあるので、面白く読める。これを読んでいたら、またラーメンを食べたくなってしまった。

僕は味噌ラーメンが好きなのだが、ラーメン好きとしては結構邪道かもしれない。こういった「ラーメンを追求する」作品に出てくるのは醤油と塩が中心だ。味噌は主張が強すぎて、どうしてもラーメンの出汁の風味とか、そういうものを味わうものではなくなってしまうからかも。

澄んだスープの中にどういう具材で出汁をとっているか、みたいな話になると、味噌は弱い。どうしても和風になってしまうというのもある。本格的な中国の料理人が味噌ラーメンを食べたらどう思うだろうか。

主人公の芹沢達也は、作中世界での伝説的な名店の創業者なのだが、実はプロレスが好きという設定がある。あと、昔のロック。

それらに共通する要素としては、最初は「まがいもの」だったのが、だんだん時とともに洗練されていき、様式美が育ったり、形式が誕生する、というところだという。

確かに、ラーメンという食べ物は「中華料理」として考えると亜流で、大衆文化の中で育っていった存在だ。いまでは無数にラーメン店があり、名店と呼ばれる店もその中にはあるが、はじめからこうだったわけではない。

ロックも、中世から存在するクラシック音楽と比較したら粗雑ではあるが、大衆文化の中で育ってきた。いずれも、国家的な権威とは無縁な、大衆文化による洗練といえるだろうか。

そういった「大衆文化」という観点でいうと、個人的に興味深いのが「鉄道オタク」の世界である。関心のない分野なので、詳しくはまったく語れないのだが、世の中には鉄道が好きだ、という志向の人々が大勢いる。どういう理屈で鉄道が好きなんだろう、と興味深く思うのである。

僕が部外者の目線で興味深く感じるのは、鉄道というのは誰しもが日常的に使っているものだからだ。多くの人は、なんの感慨もなく、駅に行き、満員列車に乗って会社に通勤している。僕だって、ふだんはJRの中央線に乗り、新幹線をよく利用しているが、それらの車両そのものに注目したことはない。

もしも会社がタクシーでの通勤を許可したら、そもそも電車を使いたくない、という人も多いのではないだろうか。

先日、とある駅でホームの端まで猛ダッシュしている男性がいた。その先にはホームの端があるのみで、何かがあるわけでもない。すごい血相だったので、何事かと思って見ていたら、その男性はとつぜん振り返り、電車の写真を撮っていた。

自分が撮りたい電車がホームに侵入してきたので、猛ダッシュでホームの端まで駆けていき、正面からの写真が撮りたかったのだろう。たいした情熱である。

普通の人が見過ごしてしまうような部分に魅力を認めるところに、両者のちょっとした共通点を感じる。ポイントは、マニアがいる一方で、マニアでもなんでもない人が普段使いとしてなにげなく利用している、というところだろうか。

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