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人生とサーキュレーター

せんたくものは部屋干しが多いのだが、冬場になるとやはり乾きが悪くなる。そこで、サーキュレーターの風を当てると良いと言うことで、何年か前から、部屋干しの際はサーキュレーターの風を当てて乾燥させるようになった。
 
最初はそんなんで変わるのかなと思ったのだけれど、効果は抜群で、もう生乾きとは縁がないレベルになった。わりと急ぎで乾燥させなきゃいけないようなときでも、少し風を強くすれば対応できるので頼もしい。ただ風をつくって、風を当てているだけなのに。
 
もともとサーキュレーターはせんたくものを乾かすためにではなくて、部屋の空気を循環させるために買ったものだ(当たり前)。ある時、部屋の空気がどうもよどんで、滞っているような感覚がして、サーキュレーターが欲しくなり、ネットで探して購入した。

正直、買うまでは扇風機との違いも分かっていなかったのだけれど、扇風機とサーキュレーターは違うことが今でははっきりわかる。

扇風機は、人体への冷却を目的として広範囲に風を発生させるのに対し、サーキュレータは基本的には直線的な空気の流れを作る。一直線に強い空気の流れをつくるので、部屋の中に対流が生じ、空気の循環がおきるのだ。

サーモグラフィーなんかで部屋の温度がうまく攪拌されている動画などを見ると、威力が視覚化される。僕は部屋にいるときは、だいたい常にサーキュレーターを回して、部屋の空気を循環させている。
 
そもそも風を当てるだけで洗濯物の乾きが速くなると言うのは面白い。そういえば、中学の時、教室でちょっとした異臭騒ぎが起きたことがあった。教室の後にロッカーがあるのだが、そこから凄まじい匂いがすると言うのだ。誰かが水洗いした体操着をそのままロッカーに突っ込んでしまい、それが匂いを放っていたというのが真相だった。
 
その時僕は、純粋な疑問として、体操着を洗ったと言う行為自体は汚れを落とす行為だったはずなのに、乾燥させると言う行為を省いたためにこんな事態になると言うのは不思議だなぁと思った。

もちろん、それは不思議でもなんでもなくて、単に水分が含まれていると菌が繁殖してしまうと言うことなのだけれど、「風を当てる」「乾燥させる」ということがいかに大事なのか、ということがわかった。

風があれば乾燥がうながせる。洗濯物だけではなく、風がある場所というのは気持ちが良い。僕は年末にタイに旅行に行っていたのだけれど、パタヤビーチで寝転んでいて、時折風が吹き抜けると気持ちがいいなと思った。

パラソルの下とは言え、熱帯のビーチで寝転んでるわけだからそれなりに暑いのだが、風が吹き抜けていくと全然違う。空気が滞っていると居心地が悪い事は、自分の部屋にサーキュレーターを導入したことからも僕はよく知っている。
 
組織や人間関係も「風通しの良さ」という指標で語られる。風がとおりぬけていくと気持ちがいいのだ。人生の隣には、いつもサーキュレーターを。

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