見出し画像

まだ、「結婚式」を挙げてません

「結婚資金」という考え方がある。言葉としての意味は理解しており、どういうことに使うためのお金なのかはだいたい知っているのだが、「結婚するには多額のお金が必要だ」という考え方にやや違和感がある。「本当は結婚したいが、金がかかると言われているので、躊躇している」という人も世の中にはいるのではないだろうか。少し、結婚とお金について考えてみる。

もちろん、病気をしたりすれば多額の金がかかるし、家族が増えれば湯水のように金が出ていくとは思うのだが、「結婚資金」というのは、一般的にはそこまで先のことは含んでいないようだ。まず、「結婚式と新婚旅行のための資金」を指すケースが多いらしい。

僕は2020年の暮れ、約2年弱前に結婚したのだが、当然ながら、結婚そのものは書類を提出して終わりだった。12月31日に提出したのだが、役所の窓口が閉まっていたので、非常勤の係員のいる臨時窓口みたいなところで提出した(なんか倉庫みたいな場所だった)。

結婚式は、コロナの心配もあり、挙げていない。実を言うと、結婚式というイベントが苦手なので、あまり気が進まないのだが、結婚式をしないとお互いの家族同士が会う機会が全くないので、いまでは必要だと思っている。結婚式は必要ないと思っていたのだが、やらなかったらやらなかったでデメリットがある、ということに気付いたというわけだ。

「新婚旅行」と冠した旅行も行ってないが、年に二回ほど、国内のあちこちを旅行している。自由に海外に行けるような時期がきたら、海外にも行きたいと思ってはいるが、別に新婚旅行という題目で行く必要はないかな、と思っている。いまのところ、ちゃんと費用がかかったといえるのは、結婚指輪ぐらいだろうか。

二人で暮らしはじめるときは当然引っ越しが必要だったのだが、引っ越しは業者に頼まず、全部自分たちでやった。軽バンを借りて、お互いの家と新居を4~5往復ぐらいして完了させた。

家具は新しいものは買わず、ほぼすべて互いの持ち寄りで、ダイニングに置くためのソファがなかったので、それだけ買った(中古の家具屋で、非常に安い価格で手に入れた)。ベッドは、もともと奥さんが使っていたベッドを使っていたが、さすがに狭いので半年ほどしてから買い替えた。しかし、生活をするにあたって購入したのは、それぐらいなものである。

もちろん新生活をはじめるにあたっての費用はかかりはしたが、それは別に一人でも引っ越せばかかる程度の費用でしかない。「結婚資金」なるものは、特別に準備はしていなかったものの、二人で暮らしている今のほうが、一人でいたときよりも貯金のペースは早い。そういう意味でも、一人で生きるよりも二人で生きるほうが心強いと思っている。

「結婚には金がかかる」というイメージがあり、ある意味ではその通りだとは思うのだけれど、普通に考えたら、一人で生きていた人間が二人で生きていくようになるわけだから、「心強くなる」というのが先にくるのではないだろうか。

結局、「結婚資金」とやらがどこに流れ込んでいくのかというと、ブライダル業界や旅行業界なのだろう。そういうワードを作り出したのも彼らなのではないだろうか。僕はそういう業界を儲けさせてやる動機はないので、自分が欲しいと思うものにだけ、お金を払っていきたいのである。

もっとも、最近は式を挙げないカップルも増えているし、僕の友人でも挙げていない人が多い。だんだんと、そういう考え方にシフトしているのだろうか。

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。