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すごくゆっくりたべる

うさぎがごはんを食べる動画が癒されるというので、YouTubeで検索してみると、結構な種類の動画が見つかったので、さっそく見ていた。

……たしかに、不思議な中毒性がある。僕が見たのは、うさぎの飼い主がにんじんなどを食べさせている動画なのだが、再生数はそれなりにいっていたので、需要があるのだろう。すごい量のコメントもついていた。うさぎがにんじんを少しずつかじり、十分に咀嚼しながら少しずつ食べていく。確かにかわいいと思った。
 
みたときに、シンプルな感想がひとつ。うさぎってこんなにちゃんと噛んでものを食べるんだな、と思った。確かに口をせわしなく動かしているけれど、少しずつ、ゆっくりとものを食べる。にんじんを、ちゃんと味わって食べているように見える。
 
前に実家に帰ったとき、食べるのが早いと言われた。昔から早いほうではあったけれど、さらに早くなっているらしい。

確かに、僕は一人暮らしをはじめてそろそろ10年ぐらいになるが、ほとんどの食事をひとりで食べている。平日は会社の人と食べにいくこともあるが稀で、だいたいはひとりだ。ひとりのほうが気楽だし、僕は昼休みの時間のはんぶんを本屋で過ごすので、必然的にひとりのほうが都合がいい。

そこでも、時間のはんぶんを本屋で過ごすという目的もあるので、知らず知らずのうちにさらに「食事がはやく」なっているのかもしれない。

うさぎを見習うわけではないが、ちゃんと咀嚼してものを食べようと思った。そういえば、僕は食事に何分、かけているのだろう。ためしに、ある夕食、30回咀嚼することにして、ゆっくり食事をしてみると、だいたい20分ちょっとかかることがわかった。

これは、あきらかに普段より噛んでいる。ということは、ふだんは20分かけていないということだ。これはちょっと衝撃だ。
 
日本が世界に誇る財閥の三菱グループの社長が定期的に集まる会、通称「金曜会」というものがある。そこでは、会のなかで、食事としてカレーが供されるらしい。

そして、三菱グループの社長たちは、それをものすごい勢いで食べるのだとか(もちろん見たことはないが)。確かに、できるビジネスマンというのは、とにかく食事が早い、という印象がある。
 
よく噛んでものを食べようと意識してからカレーを食べようとすると、そもそもそんなに咀嚼できないことに気づく。ラーメンやパスタなどの麺類もそうだ。そばなんかは、そもそも大して噛まずに喉で味わうのが粋だとされているから(まあ。いろんな意見があるけど)、噛まないのもそこそこ主流派ということだろう。

ちゃんと噛もうと思えば、肉とか野菜、ということになる。特に野菜はちゃんと噛んで食べるとおいしい。「噛み甲斐がある」というか、ちゃんと噛んでやろう、という気持ちになる。だから、ちゃんと噛むことを意識すれば、自然と野菜とかを好むようになるんですかね。
 
いくら仕事を優先しなければならなくても、掻き込むようにカレーを食べなきゃいけないような生活は「豊かじゃない」……そんな感じもする。今年は、僕は食事に時間をかけることを意識しようと思う。
 
ちゃんと食事に時間をかけていますか?

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