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「音楽の気持ちよさ」の本質に気づいた

長い時間を経て、スーパーファミコンソフトの「マリオRPG」がリメイクされ、ついに発売されたらしい。

スーファミで育った世代としては朗報である。自分の少年時代が蘇る。実は本作は最後まで到達しなかったような気がするのだが、まあ、思い出は思い出だ。

同じスーパーファミコンタイトルであれば、「MOTHER2」はみっちりやったことがあるので、こっちをリメイクしてくれたら、光の速度で買うと思う。

スマブラなどで主人公キャラの「ネス」が有名になっているので、今の子でも聞いたことはあるだろう。実はソフトとしては当時それほど売れていなかったという話もあるのだけれど、いまでは熱烈なファンも多いので、リメイクしてもそれなりには売れるのではないだろうか。

個人的に今回のリメイクで気になっているのは、内容ももちろんなのだけれど、BGMのアレンジを、原作の作曲者である下村陽子さんがやっている、というのが大きい。下村陽子さんは界隈ではかなり有名な作曲者なのだけれど、作曲者本人がリメイク版をアレンジするというのはポイントが高い。

下村陽子さんは、古くは「ストリートファイターⅡ(スト2)」の音楽なども手がけた。個人的には、「聖剣伝説レジェンドオブマナ」の音楽が好きである。

スーファミ時代、および初代プレステ時代のゲーム音楽には思い入れが強い。

いまのゲーム音楽と違い、メロディがしっかりしているので記憶に残りやすい。いまのゲームはグラフィックが発達しているので、ガチャガチャした音楽だとうるさすぎるという事情があり、環境音楽みたいなフワフワしたBGMが中心である。

ゲームにおけるBGMの立ち位置が変わっているということで、純粋な優劣で比較できることではないのだけれど、昔のゲーム音楽はよかったな、と思うのである。

音楽を好きになるってどういうことなんだろうな、ということを考える。音楽の本質は「繰り返し」だと思う。同じ曲のなかでも、同じフレーズを何度も何度も繰り返す構成が大半である。

最近の曲だけでなく、クラシック曲などでも同じだ。繰り返しのフレーズがない曲は(実験的な音楽でない限り)ないのではないだろうか。

はじめて聞く音楽のフォーマットをそのまま好きになることは、10代以前でなければなかなかないような気がする。ジャズならジャズ、ポップスならポップスのフォーマットがあり、それに沿った形で音楽を聞いているはずだ。ジャズ好きは新しいジャズが出てきてもそれなりに楽しむことができるが、新しい電子音楽みたいなのは馴染むのに時間がかかるだろう。

2010年代に流行ったボカロ音楽も、特有のガチャガチャした音楽だったが、今思えばあれはあれでひとつのフォーマットだったのだろう。

最近だと、YOASOBIみたいな感じの曲調が流行っているな、と感じる。別に悪く言うつもりはないのだが、全部同じ曲に聞こえる。しかし、それは「フォーマットを繰り返す」という点では、意味のあることなのだろう。

音楽においては、「繰り返しの気持ちよさ」が本質なのである。ミニマル・ミュージックで知られるスティーブ・ライヒなどはその究極だろう。同じような音を繰り返して、少しずつ変化させていく。

最近、同じ曲を一時間ぐらいぶっ続けで聞くことが増えてきた。好きな曲であれば、アルバム単位などではなく、同じ曲をずっと聞いても良いものだ。一時間ぐらい繰り返しているうちに、だんだん乗ってくることもある。

そういう意味でいうと、ゲーム音楽というのは基本的に同じ曲を延々と聞くことになる。聞く頻度の高い戦闘曲などは、何千回聞いていることになるのか……。それによってフレーズを覚えるし、好きにもなる。たとえ飽きても、またしばらく離れたら、また聞きたくなることもある。

大御所バンドのライブで盛り上がるのは新曲ではなく、往年の名曲だというのだから、音楽の本質というのはそういうものなのかもしれない。

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