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どこまでいっても飲み会は……

多人数の飲み会が苦手だ。

僕はお酒がほとんど飲めない、というのはもちろん理由のひとつに含まれる。しかし、最近は僕も開き直ってお酒を一滴も飲まないことが多いので(特に会社関係では)これはあまり関係ないかもしれない。

お酒を全く飲まなくても、多くの場合、楽しくはないからだ。
 
「みんなで楽しくワイワイやるのが好き」という人が一定数、世の中にいることは理解しているが、これは僕がいくつになっても慣れない。
 
人と食事をしたり、飲みにいったりするのがいやなわけではない。むしろ、僕はけっこう自分から食事に誘ったりするほうだと思う。

でも、人数は最大で4人まで。できれば3人、可能なら2人、というのが僕の「対応可能な人数」だ。

それ以上になると、脳がオーバーフローを起こしてしまう。

おおっぴらに飲みにいくことができなくなったので、ZOOMなどのオンラインサービスを使って飲み会をする人が増えたようだ。

しかし、最初は物珍しくてやる人が多かったように思うけれど、あまり定着していないのではないか、と思う。「多人数の会話」というのは、とにかく難しいのだ。
 
たとえば10人、集まって飲んでいたとして、10人が共通して楽しめる話題を提供するのはかなり難しい。

3人であっても、2人にはわかるけれど1人にはわからない話題になると、その1人は退屈してしまう。それが4人、5人ぐらいになるとほとんど収集がつかないのではないだろうか。

実際に、飲み会の現場を見ていると、10人で飲んでいても、10人で会話していることなどほとんどない。だいたい、2つか3つのグループに勝手に分かれて、それぞれが自由に会話をしている。
 
僕はこの状況がとても苦痛だ。相手の好みそうな話題を探して、かつ、全員が理解できる話題を選ぶだけでも大変なのに、同じテーブルの、横のほうでは全く別の話題が展開されているのだ。どうしてもそっちの話が耳に入ってきてしまう。

3つぐらい別々のタスクを同時進行している感じなので、疲れてしまうのだ。疲労がピークに達すると、少しでも静かな環境を求めて、トイレにしばらくこもっていたりする。
 
こういうことを誰かに言ったら、名言を返された。

「酔っ払いは、他人の話なんて聞いていない」。

つまり、酔っ払いは判断力が低下しているので、この3つのタスクを忠実に守るつもりがそもそもなく、自分のしゃべりたいことをしゃべりたいようにしゃべっていて、しかも同じ話を何度もループするから何時間でもやっていられるのだ、と。

最終的に、なにがあったのかもほとんど覚えておらず、「お酒飲んで楽しかったな」という記憶だけが残る、と。

なるほど。

であれば、飲み会であれば、やはり酒を飲むのが正しいスタイルであり、たとえ下戸であっても、一杯ぐらいは飲んだほうがいい、ということになる。
 
しかし、とにかく、いまだに飲み会は苦手なのである。

本当に気の合う人と2、3人なら、大歓迎ではありますが。

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