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盛り上がった打ち合わせが失敗する理由

自分の中のセオリーとして、「盛り上がった商談は大抵成功しない」というものがある。仕事の打ち合わせで、先方の担当者と盛り上がり、話が弾んだ場合、たいていはなぜか成約に至らない。

「なんか反応よかったですね、いけそうですね」みたいな感じで、一緒に行った人とほくほくしながら帰るときは気分がいいのだが、たいていはそこで話が終わってしまう。一方で、細かいところまでツッコミが入る厳しい商談の場合は、不思議なことにその後も話が進んでいくことが多い。たとえ受注にまで至らなくても、その後もいい関係性を築ける場合が多いのだ。


 
なぜそういうことが起きるのかというと、「話が盛り上がる」というのは、要するに相手はこちらの話を真剣に聞いてくれていないからだ、ということに尽きる。

もちろん、適当にあしらって帰すこともできるのだけれど、たいていの人は、わざわざ来てくれた人に対しては、ビジネスにつながらないなと内心わかっていても、話ぐらいは聞いてくれる。でも、それは真剣にとりあってないので、無責任に話が広がって、ああだこうだと盛り上がっただけ、というのはよくある。

一方で、真面目に検討してくれている人は、契約するつもりで話しているので、重箱の隅をつつくようなことも言ってくる、ということなのだろう。もちろん、話が盛り上がって成約することもあるし、もちろんその逆もあるのだけれど、自分の経験則としてはそういうのがある。
 
相手が真剣になっていると財布の紐が固くなり、真剣じゃないときは財布の紐が緩くなる、というのもあるような気がする。

スーパーで日々野菜の値段を見ていると、ちょっとした値段の上げ下げにすぐ気づく。ガソリンの値段や株価なども毎日変わるので、真剣になって見ている人は、ちょっとした変化には機敏に反応するだろう。

一方で、旅行に行った時や、結婚式の費用などは、日常生活とはちょっと離れた世界ということもあるし、何より「気分」を大事にするので、その気分を壊さないようにうまくやればお金をとりやすい、というのはあるかもしれない。キャバクラやホストクラブなどもその類だろう。

別にそういう商売だからどうだということはないけれど、どれぐらい相手が真剣になっているか、というところで難しさの種類は変わってくるように思う。当然ながら、真剣な人を相手にするのは怖い、というのもある。
 

接待とかで相手をおだてて仕事をとってくるのは全く僕の好みではないのでやったことはないが(そもそもそんなので仕事が取れるのかは謎だが)、そういう仕事の取り方に慣れていると、いざというときに真剣勝負ができない、というのはあるかもしれない。

濡れ手に粟という商売でも、一長一短あり、ということですね。

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