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「ものづくり」は製造業だけなのか?
日本は「ものづくり」が強いと言われる。ものづくりとは、シンプルに考えると製造業のことだと思うので、日本の産業の中では製造業が花形、ということなのだろうか。
僕の父は製造業の企業に勤めていたが、僕自身はIT企業に勤めており、一般的な意味では「ものづくりをしている」とは言えないかもしれない。だが、本当に「ものづくり」は製造業に限られるのだろうか。少し、その本質について考えてみたい。
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製造業というと、日本では花形はやはり自動車製造業だろう。世界的に見れば、たとえばスマホの組み立てなども産業規模としては大きい。
しかし、IT企業が販売しているソフトウェアなども、エンジニアが開発をして製品に仕上げているわけだから、これも広い意味では「製造」だと言えないだろうか。
この場合、具体的な「モノ」は存在しないが、プログラムという「成果物」は存在する。また、その成果物は、実際にユーザが使用することによって利便性を享受することができる。だから、これも立派に「モノ」と言えるだろう。
たとえば「生物」について考える。生物だって物体なので、「モノ」といえるだろう。しかし、生物は一瞬だって同じ形状を保っておらず、常に移り変わっている。全体としては同じような状態を保ちながら、常に新しいものを取り込み、新陳代謝をしている。
また、時が経つと老化するので、質的な変化が常に起きているといえる。
生物として変わらないものといえば、たとえば遺伝子があるだろうか。しかし、一個体としては同じ遺伝子を持っていたとしても、次の世代では、また微妙に変化する。
つまり、「遺伝子」という成果物も、一定の形がない、ということになる。無形の構造物と言えるだろうか。「モノ」といいつつ、非常に不安定だといえる。
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製造業の現場を考えてみる。たとえば、自動車を製造する現場だって、自動車の設計図を描いたらそれでたちどころに自動車が生まれてくるわけではない。その自動車を製造するラインをつくる必要があり、そのライン自体も、状況に応じてどんどん改善されていき、常に変化している。
どこか下請けに外注するにしても、常に入れ替わりもあるだろうし、それに応じた交渉もある。製造している成果物が実際に存在している モノというだけで、最終的には、それをつくる仕組みやシステムだということがわかるだろう。
自分は製造業の会社で働いているわけではないので、「製造業に従事」しているわけではないことは明らかだが、仕組みを作ったり、新しいサービスを作るという点では、「自分はものづくりをしているんだ」ということはできそうだ。
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