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お金の視点で見てみたら

少し前に読んだ本、たしかユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」だったと思うのだけれど、なかなか面白いことが書いてあった。

地球上は、人間が支配しているように見えるけれど、実は人間よりも繁栄している生物がいる。それは「鶏」で、彼らは、実は人間を利用して自分たちを大量に繁殖させ、世話させている、というのだ。それと同じ理屈で、地球上では「とうもろこし」が大量に繁殖しているが、これも人間たちに自分たちを「栽培させている」という。

もちろん人間視点で見れば、それらは人間が利用するために飼育したり栽培したりしているにすぎないのだが、「子孫を残す」「種を存続させる」という目的からみると、彼らも大成功しているように見える。
 
宇宙人的な視点から見ると、そういう見方もできるということだ。それと同じように、いまは誰もが持っている「スマホ」も、もちろん人間が便利に使いこなしていると見せかけて、実は人類はすでにスマホに支配されているのかもしれない。

片時も手を離せないし、ことあるごとに覗き込んでいる。スマホなしで生活することなど考えられない、という人類はどれほどいることだろうか。


 
それと同じ理屈で、「お金」の視点で人類を見てみると、なかなか面白い。お金によって人を動かすことができるが、ただの紙切れやデジタルデータになぜ人を動かすだけの力があるのだろうか。考えてみれば不思議なことである。
 
この世界の奇跡のひとつが、大半の人類が「お金」の価値を信じている、ということだと思う。あの紙切れやデジタルデータに価値があると誰が教え込んだのだろうか? 幼少時はもちろん「お金」の概念なんて知らないわけだが、ある程度成長すると、「お金」のコンセプトは誰もが理解できる。

「もっと稼ぎたい」「もっとお金が欲しい」と思っている人はたくさんいる。詐欺師はそういった人間の習性を利用して、「儲け話」を持ちかける。

人を騙すためには、何か便利なものを売りつける必要はない。儲け話を作り出して、それを売り込めばいいのだ。「こうすれば儲かりますよ」と喧伝することは、それ自体がビジネスになる。ベンチャービジネスのうち、「儲け話」がビジネスモデルの主軸になっているものは多いのではないか。
 
そのようなことから、多少の「損得」で動かないようにはしている。「こうすればお得ですよ」というキャンペーンは、基本的に乗らない。もちろん、企業はそのキャンペーンを打つことによって一時的に赤字が出ることも覚悟しているだろう。しかし、長期的には会社が儲かるので、それをやっているはずだからだ。

ちょっとポイントがつくとか、その程度であればかわいいものだが、むやみやたらとクレジットカードを作らそうとしたり、隙あればカードローンを組ませようとしてきたりするので、「お得」という言葉に弱い人はもうちょっと警戒心をもったほうがいいと思う。


 
ポイントカードなども基本的にはあまり作らない(家電量販店のポイントは結構簡単に貯まるので利用させてもらっているが)。よくあるパターンで、「このタイミングで、この商品を、これだけ買ってください」というのが嫌なのである。「お金で動かされる」ということが生理的に嫌なのかもしれない。
 
「あともうひとつ買うと割引になりますよ」みたいなことを声がけされることもある。これもすごく嫌いだ。そもそも、自分が必要な分しか買わないから、割引なんて必要ないのである。

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