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シン・ウルトラマン見てきました

話題の映画「シン・ウルトラマン」を見てきた。

レビューでは賛否両論あったものの、個人的にはかなり楽しめた。もしかすると、ウルトラマンが好きな人ほど不満があるのかもしれない(愛ゆえに)。
 
僕はウルトラマンをほぼ全く知らない。一般常識としてのウルトラマンは知っているけれど、テレビ版はほぼ見たことがない。なので、そういう意味では「シン」がついた庵野秀明のリブート版は、予備知識ゼロで楽しめるものと思っていたので、その欲求がかなって非常によかったと思う。

しかし、作品全体を見てみると、ところどころ気になる点があったので、そういうところに引っかかる人がいたのだろう。


 
本作品にかける樋口監督のインタビューも別で読んだ。

本作の撮影にあたり、いろんな苦労があったそうだ。まず、そもそも「ウルトラマンを存在させるのがまず難しい」、と。元はテレビ版なので、三十分の枠のなかで突然宇宙から正義のヒーローがやってきてもギリギリ成立したのだろうけれど、なかなか映画でそれをやるのは難しい。

なんというか、一般常識程度の知識レベルであれ、「それ」を知っていることが前提にあって、それをもって成立しているような感じがした。 たとえば外国人がこれを見たらどういう感想をもつか、というのは関心がある。
 
ほかにあったのが、結構物語があっさりしている、という意見。でも、それは数年前に公開された「シン・ゴジラ」だって似たようなものだったような気がする。とにかくセリフが多くて、状況が複雑でつかみづらいことはあれど、ストーリーラインはかなりシンプルだった気がする。
 
これは、たぶん脚本を書いた庵野秀明の性格というか、好み的なところが大きいように思う。なんというか、人間のドラマと、駆け引きが薄いのだ。庵野秀明は、人間と折衝したり交渉したり、というのが元々苦手な人なのでは、と想像している。ちょっと地球人離れした風貌はしているものの、性格的にはかなりピュアらしいので。
 
考えてみたら、「エヴァ」だって、主人公を取り巻く大人たちの対応はどう考えてもベストではない。言い方は悪いけど、もっと甘やかすというか、「スポイルする」大人がいてもいいはずなのだけど、なんかみんなやたらと冷たい。

現実世界で「エヴァ」のような状況があったとしたら、主人公を甘やかし、良いようにコントロールするものだろう。ただ、そういうネットリしたところがあると、ちょっと作品の性格が変わってしまう。

よくも悪くも、ドライでサラッとしていて、焦点は「自己の葛藤」みたいな感じの作風が受けているのではないか、と思う。なんというか、ある意味、徹底的に「子どもの視点」を貫いている気がする。子どもの目からみた大人社会って、そういう感じだからだ。


 
では、庵野秀明作品の何が面白いかっていうと、ピュアな人たちがピュアにぶつかるのが面白いのかもしれない。現実世界では、なかなかお目にかかれないので。ピュアじゃない人たちが、特にぶつかりもせず、互いに利益を虎視眈々と狙う、というのが現実社会だと思う。
 
庵野秀明ファンは、そういうのはあまり見たくないのかもしれない。

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