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対峙する他人は、自身の鏡……

人気YouTuberの「コムドット」というグループのチャンネル登録者数がすごい勢いで減っているらしい。

たぶん、僕のnoteを読んでいる人たちはこういうタイプのYouTuberのことはよく知らない人が多いと思われるのだが、まあ、彼らの動画の内容に関する記事ではないので特に詳細について知る必要はない。

ちなみに、僕は別にファンではなく、動画も見たことがないので、どういう人たちなのかについては全然詳しくない。ただ、家がわりと近所らしく、その点においてはちょっと認識がある。一度だけ、「近所を散歩する」みたいな内容の動画を見たことがあるのだが、本当に家の近所の知っている場所が動画に映っていたのでびっくりした。

夜中にコンビニの前で騒いでいて、近隣住民から苦情が来たりしていたようだ。彼らの拠点は、生活圏内ではないものの、行こうと思えば自転車で行けるぐらいのところである。

チャンネル登録者数が400万人を超えているのだが、近頃急に登録者が減っているらしい。ちょっと前に炎上騒ぎがあって、20万人ぐらい減ったようだ。20万人というと、なかなかすごい人数である。

400万人も登録者がいるのだから、20万人ぐらい減ってもどうこうないような気もするのだが、YouTubeのチャンネル登録というのは基本的に一度登録したらめったなことでは解除しないものなので、チャンネル登録者が「減る」ということは、明確にファンから「NO」を突きつけられている、ということである。見た目の数字以上に厳しい行動だとも言える。

減少のきっかけとなった騒動は、事象としてはあまりにもレベルが低いので、ここでは取り上げない。各自で調べていただくことにして、ここでは「人気商売」について少し考えてみる。

人気YouTuberというのはどれも似たような感じなので、分類が難しいような気がするのだが、分類の仕方として面白いものを思いついた。YouTuberの見た目や動画の内容ではなく、「どういう人がそれを見ているか」という点に着目すると、綺麗に分類できるのではないか、ということだ。

コムドットというグループは女性ファンがやたらと多く、しかも10代ぐらいの若い視聴者が多いらしい。どちらかというとアイドルのような売り方をしているのが特徴になる。そういうファンの人たちは、火がつくのも一瞬だが、何かの拍子にいきなり冷めてしまうことがあるので、ファンビジネスを展開するうえでは結構注意が必要である。

イメージとしては、学校の人気者に声援を送っている女子生徒の集団、というようなイメージだ。そして、「幻滅」するようなことがあったため、この登録者20万人減という現象につながったのだろう。「いまがトレンドで、グイグイ伸びている」ということそれ自体がセールスポイントだったので、たとえ20万人といえども、「減ってしまう」というのはブランドイメージを毀損する事態になってしまう。

途上国の経済などでも、「成長することが当たり前」のフェーズにおいて、「下がってしまう」と、「あ、ここが上限なんだ」と急に冷静になってしまい、バブルが崩壊するのと同じである。

「トレンド」を気にする層が大量に見に行っているので、トレンドではなくなってしまったときに、熱狂が急速に冷めてしまい、いきなり危険な水準になる、ということである。怖いことだ。

僕は30代の男性なので、コムドットのメイン視聴者層からはかけ離れている。実際、動画を見ても、何が面白いのかさっぱりわからない。僕は、そういうファンビジネスがあまり刺さらない性格のようで、「特定の人を動画で見たい」というよりは、純粋にコンテンツの中身というか、「動画が面白いかどうか」を重視しているようだ。

自分が普段見ているYouTubeチャンネルも、どちらかと言うと、自分と同年代か、あるいはもうちょっと高い年代をターゲットにしているものが多い。そういうチャンネルだと、出演者にスキャンダルがあろうがどうでもいいと考える視聴者が多く、何かのきっかけで「冷めてしまう」ことは基本的にはない。動画が面白ければ、それだけで見続ける。

以前、政治家の質を見極めるには、「どういう層が支持しているのかを見極めたらいい」ということを書いたことがある。具体的には、Twitterのリプ欄を見てみるといい。リプ欄は鏡のようなもので、どういう人が支持しているかがわかれば、その人自身も見えてくる。

YouTuberについても全く同じことが言え、その人を見るのではなく、その人を支持している人たちを見ると言うのが大事なポイントなのだろう。

YouTuberというのはあくまでも一例だが、あらゆるものを見るときには、そのような目を持って見てみると、また新しい発見があるかもしれない。


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