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大金持ちの趣味はマネできるのか?

仕事だけに打ち込んできた人が、リタイヤ後に人間関係がほとんどないことに気づき、孤立してしまう、みたいな話をよく聞く。これは実際それなりに起きることのようで、「仕事で作った人間関係」は仕事から離れるとなくなってしまう、ということなのだろう。

僕も割と似たような経験があって、仕事関係の付き合いで仲良くなった人はどれだけ人間的に馬が合うと思っても、仕事を離れると、やっぱりなんとなく疎遠になってしまう。なんというか、共通の話題がなくなってしまうからだと思う。仕事だと、仕事を通じてその人とつながっているため、仕事がなくなると、つながりもなくなってしまうのだ。

小学校の頃、とても仲の良かった友達が、別々の中学にあがると疎遠になってしまうのと似ている。

なので、大成功した人でも、「趣味を持つことは大事」とよく言っている。サイバーエージェント社長の藤田晋も、これまでの人生を仕事一辺倒でがんばってきて、リタイヤ後にやることがなくなってしまう人について、ある動画で言及していた。

藤田晋の一番の趣味は麻雀で、次に競馬、あとは釣りらしい。藤田晋は、サイバーエージェントの創業者で、何千億円もの資産を持っているのに、趣味が麻雀や競馬というのがちょっと面白い。一般庶民でも普通にできるものだからだ(競馬は、馬主になったりもしているので、その部分は庶民には真似できないが)。

趣味だけでも大金持ちと同じものにするのは、それほど難しいことではないらしい。まあ、高級ワインが趣味だという人はそれなりにお金がかかるとは思うけれど、お金がないなりにワインを楽しむことはできるだろう。

本当に高いものは何十万円、何百万円とするが、そこまで行かなくても、1万円以内のワインでおいしいものを探すとか、そういう楽しみ方だってできるはずだ(僕は一切詳しくないので、値段は適当である)。

そういえば、村上春樹はジャズのレコード収集が趣味だが、ワゴンセールになっているものの中から掘り出し物を探すというマイルールがあるとのことで、お金はたくさんあるはずだが、あえて安いものから探す、という制限を課しているらしい。そういう制限があったほうが楽しめる、ということもあるだろう。

1年ほど前から将棋を指し始めたが、これは何か、本当の意味での趣味と言えるような気がしている。まず、実生活には何の意味でも役に立たない。広い意味で言うと、ボケ防止とか、そういう効果は期待できるかもしれないが、それは他のことでだってできるだろう。

別にテレビゲームが趣味でもいいとは思うのだが、新しいタイトルがどんどん出てきて、その度にリセットされてしまう、という点が厄介である。同じタイトルが何十年も遊ばれ続ける、というのはまず考えにくい。

僕はマリオカート8を奥さんとほぼ毎日のようにやっているが、さすがに10年後も同じゲームをやってはいないだろう。その頃にはまた別のゲームが流行ってるはずだ。

その点で言うと、将棋は多分自分が死ぬまで存在していて、その頃でもまだ指している人はたくさんいると思われるので、そういう意味では非常に裾野が広い。ゴルフ・釣り・麻雀など、歴史の深い趣味は基本的にはそうなんだろう。

趣味として長続きさせるためには、新しい趣味でももちろん良いのだが、伝統的な、古くからあるものを選ぶというのも意外とコツなのかもしれない。


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