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2010年ごろのインターネットが好きだった

先日、イラストレーターの萩原ぎんいろさんと都内某所でお茶をしていた。

お茶をしたといっても、実際に飲んでいたのはコーヒーだが。定期的に会って、とりとめのない会話をしている数少ない友人である。

僕はいまはなぜかnoteでエッセイを書くのが活動の中心になっているが、もともとはインストの音楽を作って発表するのがメインの活動だった(小説も書いていたが、音楽活動のほうにより力を入れていた)。なので、昔から交流のある人はそれ経由で知ってもらった人が多い。

音楽活動でいえば、最近も全くやっていないわけではないのだが、ピークは2010年〜2013年ごろであった。そこから、外国に転勤したのを機に、活動量が減ってしまった。2年後に帰国したが、2015年ごろには、なんだかその界隈の雰囲気が変わってしまっていた。

簡単にいうと、2010年ごろの、ニコニコ動画を中心とするインターネットというのは自分にとって面白かったのである。いろんな才能をもった人たちがカオスに入り乱れていて、自由に創作している風土があった。なんというか、お金儲けや知名度を意識せず、アングラな感じで活動している人が多かったのだ。

(当時、界隈で有名だった「こんぺいとうP」さん)

動画サイトを通じてできた友達がたくさんいたし、自分のクリエイティブを通じていろんな人と交流があった。

趣味のコミュニティというのは承認欲求のるつぼになるため、あまり好きではないと以前書いたことがあるのだが、実際にはその頃はインターネット上のコミュニティにかなり強烈に所属していた。

ただ、その界隈自体がかなり盛り上がっていたので、いろんな人が入り乱れており、あまり人間関係が固着化しなかった、という特徴はあったように思う。なので、自分が気の合う人とのみ交流をもち、そうでない人とはつるまないという、かなりゆるいコミュニティではあったのだが、それが創作を刺激する要素のひとつだったように思う。

かなり趣味感の強かったニコニコ動画と違い、YouTubeはビジネス色の強いサイトである。正直言って、2010年ごろは、YouTubeといえば「違法動画を見るサイト」という感じで、テレビ番組などの転載を中心としたグレーな動画が多く、独自コンテンツはほとんどなかった。それに引き換え、ニコニコ動画はクリエイターが作った動画が山ほどあったので、そっちのほうが盛り上がっていたのだ。

しかしそこから10年ほどで、すっかり様子が変わってしまった。もちろんニコニコ動画もまだ存在はしているが、規模感でいえばYouTubeの足元にも及ばない感じである。しかし、YouTubeには金儲け目的の人が増え、混沌としたアングラなコンテンツは目立たない印象である。

10年前というと、かなり前の時代のような気がする。もちろん、いまの時代のいいところもたくさんある。何かきっかけで、面白い活動の場が出てくると、また頑張って作品を定期的に作るようになるかもしれない。

しかし、たまにクリエイターさんと会い、こういうことを話すと、少しでもモチベーションがあがるような感じがするのは嬉しいことである。一方で、昔をなつかしむのはほどほどにしたい。

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