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リアルイベントから足が遠のきつつある

コロナによる行動制限が緩和され、対面型のイベントも徐々に復活している。僕は数年前から「文学フリマ」というイベントには定期的に参加していたのだが、文学フリマもまた再開しているようだ(今年の11月20日に開催されたものは、雨だったのもあり参加しなかった)。

一昨年の初夏、まだ緊急事態宣言が発令されたりしていた頃に開催された文学フリマには一応出展枠で参加したものの、一般の参加者が非常に少なく、閑散としていた。自分が頒布したものも全く売れなかった。

さすがにいまの時期はもうちょっと盛り上がっているのかもしれないが、まだどうなのか、と勝手に警戒している感じである。

文学フリマは比較的最近はじまったイベントだが、対面イベントには思い出がたくさんある。2010年ごろ、まだニコニコ動画が元気だった頃は、ボーカロイドが非常に流行っていて、僕もその流行りにのってボーカロイドを使ったアルバムを作っていた。

しかし、もともとの音楽性が歌ものではなくてインストだったので、ボーカロイドを使ってはいたものの、音楽の方向性としてはインストに近い作りをしていた。まあ、それはそれで愛好家というのはいるもので、それなりに支持されていたし、似たような趣味をもった人々とネット経由でつながったりして、それなりに楽しい日々だった。

2013年に仕事で中国に転勤してからは、物理的に距離ができたのでしばらく離れていたのだが、久々に帰国すると、世間的なボーカロイド熱も冷め、ニコニコ動画そのものも低空飛行で、ちょっとそういう雰囲気が変わってしまっていた。時代が移ったような気がして、ちょっと寂しい思いをしたのを覚えている。

いまでもM3などに代表されるように、音楽頒布イベントはそれなりに盛況のようだ。

しかし、あくまで個人的な感想では、いまさらCDという媒体を売ってもな、という気持ちがどこかにあり、足は遠のいている。実際のところ、自分はいまはCDを視聴できる環境が全くないため、CDを購入したとしても、それを聞く手段はない、ということになる。

音楽を作っている自分ですらそうなのだから、CDの再生環境を持っている若い人、というのは今はほとんどいないのではないだろうか。

それと似ているところとしては、いまは自分は読書は電子書籍か、図書館で借りるのが中心で、「本をコレクションする」習慣がない。年間で120冊ほど読むことを目標にしているが、電子書籍はすべてiPadで読むし、図書館本なら2週間で返却してしまうので、自分の周りに滞留することがない。

2年前に引っ越しをしたときに、大量にあった本の8割ほどを処分してしまったため、いまは本棚ひとつに収まるぐらいしか本はない。その本でも、読み返すものはごく一部である。また折を見て処分しようかと考えているぐらいだ。

同人イベントなどで頒布される大量の本は、一体どれぐらいが読まれ、どれぐらいが保管されるのだろうか。もちろん、長年保存しておく、というファンの人もいるとは思うのだが、実際のところはどうなのか、というのは気になるところである。

一般的に、本は売れても、感想が帰ってくることはほぼない。売れていった本たちがちゃんと読まれたのか、というのは気になるところである。

同人イベントというのは「お祭り」の側面も強く、普段はインターネットで交流している人たちと出会える場、という認識の人も多いだろう。なので、そういった「モノ」を媒介にしてつながるのもいいが、何か別の手段があってもいいよな、ということも思うのである。

たとえば、VR空間でこういった同人イベントをやる、という発想などだ。ただ、仮想空間であれば、実際に「会う」というところは達成できないため、なかなか難しいところはあるかもしれないが。

かさばらなくて、現地に行かないと手に入らない「何か」があればいいんだけどな、ということを考えている。「紙の本」というのはもちろんいいのだけれど、何かまた別なものがあればいいのに、と。

文学フリマで、小説が読めるURLが書かれた紙を売っている人がいたけれど、まあそういうの発想もあるが……。もっとしっくりくるものを考えたい。

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