情報を取りに行くこと

いま、自分が会社で所属しているチームはわりと最近作られたチームなので、組織体制も含めて、あらゆることがそれほど固まっていない。

いろんな知識やバックグラウンドをもった人を次々と採用しては、チームに参画させている(自分もそのうちの一人だ)。こういった新規プロジェクト的なところが好きなので、わりと楽しく働ける環境ではある。
 
新しい環境に身を置いたときに、まず必要となるのが「情報をとってくる」作業だろう。職場が変わると、当然ながら自分を取り巻く環境が一変するわけで、仕事を円滑に進めるためにはあらゆることを勉強する必要がある。

特に、ググっても全く出てこないのが「社内の力学」で、どの部署とどの部署がうまくいっていないとか、部長はこの人だけど実質的に部内を取り仕切っているのはこの人だとか、そういった情報は自分の足でコミュニケーションして取ってくるしかない。

自分の部署のことを理解するのが先決だが、他部署に関しては、そもそもどういうことをやっている部署なのか、ということすら、入社直後はよくわからなかったりする。
 
ただぼけっと座っているだけではダメで、自分から情報をとっていく姿勢が大事なのだろう。自分はわりと部署横断的な仕事を担当することが多いので、おのずとそういった動きを求められるのだけれど、そういったことがなかなかできない人は、こちらから情報を与えてやるしかない。

でも、「与えられた情報」で仕事をするのに慣れてしまうと、そこから脱却するのはなかなか難しいわけで、そういうところで「成長の限界」みたいなものが見えてきたりする。

よく、若者が「教えられていないので、できません」というのがそれにあたるだろう。わからないことを自分で考えて、誰から情報をとればいいか、と動ける能力がないわけだ。


 
「自分から情報を取りに行く」ことを、普通の人はどのぐらいするのだろうか。いまはネット全盛の時代なので、情報を取得する手段というのはそれこそ無数にあるのだけれど、例えばSNSをぼーっと眺めているだけでも情報というのはどんどん飛び込んでくるので、それで「情報をとった」と勘違いしていないだろうか。

インターネットで自分の知りたいことを検索して探し出すというのは、SNSで飛び込んできた情報を眺めるよりも、ひとつ上のレベルだろう。でも、インターネットで検索することすらしない人が多いのも事実だ。
 
本屋に行くのも、「自分から情報を取りに行く」行為だといえると思う。でも、たまに本屋に行くとわかるのが、基本的に本屋は「よく売れる本をもっと売りたい」という志向なので、店頭では売れ筋の本がよく目に入るようなレイアウトになっている。

そういう点で、本屋も基本的には大衆向けであり、SNSなどと同じようにわりとパッシブ(受け身)でも成立するものだと思う。
 
「情報を取りに行く」という点でいちばんハードルが高いのは、図書館かもしれない。最近では図書館でも書店のように、「よく借りられている本」みたいな棚を作っているケースをみかけるが、図書館の本というのは、基本的には向こうからこっちにはやってこない。だだっ広い空間に、図書分類法に従って本が置かれているだけだ。

「情報を欲しい人が、そちらから取りに来てください」というスタイルなのである。そういう意味でも、図書館に足繁く通って、自分の読みたい本を探し出せる人、というのはあんがいレベルが高くて、少数派なのかな、と。


 
ひとつ言えることは、自分から情報を取りに行ける人は強い。何か問題があれば、その解決のための情報をとってこれる。新しいことをはじめるときも、自分から必要な情報を探しに行ける。

なので、たまには受け身の情報だけではなく、自分から情報を取りに行くことを意識してみるのもいいのではないか、と思う。

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