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「完璧な」企画は存在するか?

本記事執筆時点でコロナ発症から5日が経ち、熱は平熱になった。振り返ってみると、それなりに熱が出たのは2日ぐらいで、あとはずっと微熱、という感じである。

ただ、いろんな人が言及しているように、喉の痛みだけはなかなか取れないので、バファリンプレミアムにはたいへんお世話になった。

熱がおさまってもなかなか集中力は回復せず、本を読むのもダルいので、ずっとYouTubeを見ていた。YouTubeの中でもあまり頭を使わず、何も考えずに見られるものを、ということで、SASUKEの歴代大会を15分程度でまとめている動画を公式が出しているので、それをずーっと見ていた。

第1回から39回まで、1回あたりだいたい15分の構成なので約10時間見続けたことになる。まあ、面白いといえば面白かった。

僕は前の会社では新規事業を担当しており、2年前にいまの会社に転職してからも新規事業寄りの仕事をしていた。なので、仕事のうえで「企画」について考えることが多い。

といっても、テレビ局や雑誌の仕事をしているわけではないので、「企画」といってもそんなにわかりやすいものではない。とはいえ、どんな業種にも企画というのはあるものだ。食品メーカーだって当然新商品を考える必要があるし、スーパーだって、季節に応じてフェアやイベントを企画することはある。

今世紀最大の企画はなんだろう? と考えたとき、たとえばAppleのiPhoneを挙げる人は多いのではないだろうか。iPhoneがこの世にやってきたのはたかだか10数年前だが、あっという間に世界の構造を変えてしまった。

ソフトバンクの孫正義が、Appleのスティーブ・ジョブズと直接交渉して、販売権をゲットした、というのも有名な話である。iPhoneじゃなくても、たとえばMicrosoft Windowsなど、そういうものを挙げる人もいるかもしれない。

しかし、そういった画期的なプロダクトも、「はじめから」完成形で出てきたかというと、そういうわけではない。

Appleで言うと、iPhoneを出す前に、もともとApple2というパソコンのヒットによって台頭してきて、iPodなどの成功を経てやっと辿り着いたわけで、いきなりできたばかりの会社がiPhoneを企画・製造・販売したわけではない。仮に創業当初、そういう構想があったとしても、実現は難しかっただろう。できたばかりの会社では、そういったものを実現するための信頼や道具、資金がないし、顧客もまだついていないからだ。

つまり、「良いアイデア」というのは、ドラえもんのひみつ道具のように、アイデアだけあればいいというわけでなく、はたから考えるより難しいのである。それを実現していくことを考えなければならないからだ。

SASUKEの話に戻すと、第一回のSASUKEは体育館みたいな場所で行われたアスレチックといった感じで、いまのSASUKEのような難易度ではなく、緊張感もそこまではない。

当然ながら、出場者のレベルもそこまで高くはなさそうだ。しかし、回を追うごとにSASUKEの難易度は上がっていき、出場者のレベルもアップし、設備や演出も豪華になっていく。

もし、25年前のSASUKE企画時に、当時の番組ディレクターがタイムマシンを使って2022年にやってきて、最新のSASUKEを見て、「そうか、こういう形がいいのか」と25年前に戻っても、レベルが高すぎて、番組としては成立しないだろう。そもそも、そのセットを作るだけの予算がおりないに違いない。番組が面白い→出演者のレベルがあがる→予算がつく→難易度が高くなる→番組が面白くなるのループで発展していくものなので、「最初からこの形がベストで、進化の必要なし!」という状況にはならないのだ。

企画というものを考えるとき、この考え方はとても大事だと思う。

脳みそを空っぽにして見ていたわりには、実はいろんなことを考えていたりして。まあ、でも休みになったのは事実である。

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