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新しいものの価値を見抜くポイント

メディアアーティストの落合陽一氏が、どこかで言っていたなのだが、「論文を高速で読む方法」なるものが出回っていた。僕が見たのは原文ではなく、誰かがそれをブログでまとめたものなので、二次的なものではあるのだが、なかなか便利なので、ことあるごとに引っ張り出しては使っている。少しそれについて書いてみる。
 
落合陽一氏が大学院で博士課程を専攻しているとき、担当の教授が厳しい人物だったらしく、「週に100本、論文を読んできて」というような人だったらしい。

もちろん、どれだけ読むのが速い人でも、人間が文章を読める速度には限度があるので、「すべての文章をただ読むのではなく、必要な部分を拾い読みして読むように」というオーダーだったようだ。

そこで、落合陽一氏が使っていたのが、以下のリストだというわけだ。

1.どんなもの?
2.先行研究と比べてどこがすごい?
3.技術や手法のキモはどこ?
4.どうやって有効だと検証した?
5.議論はある?
6.次に読むべき論文は?

どういうものか、というのを端的に拾ったあと、先行研究と比較するとどこがすごいか、と。技術や手法のキモについても納得。

とりあえず目の前に一本論文があれば、この質問を念頭に、概要を拾っていけばいい。自分の研究に生かせそうだと感じたならば、もっと深く読めばいい。


 
僕はこの質問をかなり使い込んでいる。僕は研究者ではないが、これらは「それがどういう価値を持つのか」について、端的に拾い出せる質問だからだ。

この「研究」の部分を、「小説」に置き換えてもいいし、「ビジネスモデル」に置き換えてもいい。僕は仕事柄、事業企画系の部署にいることが多いので、新しいサービスを考えたりもするのだが、世の中で新しくローンチされる新サービスの研究をするとき、上記の質問は非常に助けになる。

特に「先行研究と比べてどこがすごい?」のパートは、自分があまり明るくないジャンルの場合、その先行研究(競合するサービス)を調べる際のトリガーになる。自分にとっては全く新しいサービスだと感じたとしても、類似の他のサービスは必ず存在するはずで、それを調べて、なおかつ「そこと比べてどこが違うのか?」を浮き彫りにする視点が決定的に重要だと思う。

あらゆることにいえることだが、完全に先行しているもののないオリジナルというのは存在せず、なんらかのサービスないしプロダクトの「改良」か「組み合わせ」である。「元となるものは何か」「何と何が組み合わさっているのか」「そのうえで、新規性のあるものは何か」を見抜く、ということだ。


 
自分で新しい企画を設計する際は、まずこの質問に立ち返ってみる。もちろん一朝一夕でひねりだせるものではないのだが、この質問に対する回答がしょぼいということは、まだまだブラッシュアップの精度が足りないということだろう。

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