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「毎日コツコツ」取り組む姿勢は常に正しいのか?

街には「習慣化」という言葉があふれている。本屋に行けば「習慣化」というキーワードの本が平積みされている。

「毎日コツコツやること」がなにかを成し遂げるときに有効だと考える人は多い。しかし、「毎日コツコツ」物事に取り組むのは常に正しいのか? に対して、僕はつねづね疑問を持っている。
 
つまり、「毎日コツコツ」やるのが重要であることに異論はないが、「勢いがあるときにまとめてやってしまう」のもそれなりに重要なのではないか、と思う。

好例が夏休みの宿題で、模範的には「毎日少しずつやりましょう」ということになっている。できの悪い生徒は毎日取り組むことができず、夏休みの最終2~3日で一気に仕上げる必要が出てくる。

こういうエピソードをみると、「毎日コツコツ」のほうがいいように思えるのだが、結果的に最後の2~3日で片付けることができた場合、それはそれで夏休みの時間を効率よく活用できたのではないか? とも思うのだ。

「最後まで溜め込まず、最初の2~3日で片付けてもよかったのでは」という反論もあるが、おそらく最初の2〜3日よりも、終盤のほうが時間的な制約があるため、より集中力は高まると思われる。


 
サイバーエージェント創業者の藤田晋は、創業期に「週110時間労働」を目標として掲げていたらしい。いまでも、当時書いていたブログの文章が残っている。


平日は朝9時から深夜2時まで働き、土日に12時間ずつ働くと達成できる、という目標らしい(そのまま計算すると104時間なのだけれど、それでも一般的な会社員の2倍近くの時間を働いている計算になる)。

なかなか狂った目標であり、創業期には「長時間働けばいいってもんじゃないよ」と嗜められたこともあったそうだが、「仕事以外のことをしたり考えたりすることを物理的に不可能にして、仕事に集中する」というのが狙いだったらしい。そのおかげで、サイバーエージェントは創業期から好調なスタートを切り、業界を上り詰めて行ったのはご承知のとおり。
 
僕はどちらかというと「毎日コツコツ」派で、一度に集中してガーッとのめりこむのは敬遠してしまうタイプだ。もちろん集中してのめりこんでしまうことは多いのだけれど、あまり集中しすぎると疲れてしまうので、適度にセーブしてしまう。
 
「習慣化」という言葉がもてはやされているとおり、「毎日コツコツ」は非常に有効なものとして世間的に認知されていると思うのだけれど、これには大きな弱点がある。

「毎日コツコツ」は、当然ながら毎日それを「はじめなければならない」ということだ。車や自転車を始動させる際に大きなエネルギーが必要なように、一度止まっているものを動かすのにはエネルギーがいる。

「毎日コツコツ」取り組んでいると、始動するのにエネルギーを費やし、調子が出てきた頃に止まる、というのを繰り返すので、じつは効率が悪いのかもしれない。「毎日コツコツ」を否定するわけではもちろんないが、それだけが正解ではないのでは、と思うのだ。


 
「合宿」などは、「一気に集中」の力を養うためにあるのだろう。運動部や受験などで、日常は普段の練習をしつつも、ときおり合宿をして「練習や勉強だけの世界に集中する」というのは、何かを成し遂げるときに必要なプロセスなのかもしれない。
 
過度に集中するという行為は、本能に反するので、どうも人間は集中しないようにストッパーをかけてしまうことがあるようだ。必要なときに、意識的にそういったものを外していけるようにしたい。

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