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脳のフタを開ける

仕事で、よく「ひとりブレインストーミング」をやる。ブレーンストーミングというと、ミーティング形式でやることが多いように思うのだが、僕の場合、会議だとどこか遠慮してしまうところがあるのか、むしろ思ったほどの斬新なアイデアは出ない。

自分ひとりでやるブレーンストーミングは気軽だし、誰に気兼ねすることなくできるので、かなりの頻度でやっている。これはある意味、究極の「仕事術」だと思っている。

やり方はシンプルだ。アラームをつけて、特定のテーマで、思いつくことを箇条書きで書いていくだけ。紙に書くよりもタイプするほうが速いので、パソコンのメモ帳にガンガン書きつけていく。

ポイントは、なるべく手を止めないことだ。重複していてもかまわないし、内容が凡庸でも全くかまわない。とにかく書きまくり、量を書きだすことを目標にする。

時計で区切る時間はまちまちだが、自分の場合は、だいたい15分ぐらいである。ガンガン書いていくのだが、実は5分もするとアイデアがなくなって、手が止まってしまう。しかし、その状態で頑張って考え続けていくと、チョロチョロとアイデアが出てきたりする。

10分を超えるとかなりしんどいが、それでも時間までは頑張って考える。最終的に15分が経過したとき、自分が最初に頭の中でぼんやり思い描いていたことの2~3倍はメモがたまっている、という状況が作れる。だいたい15分あれば、1500字ぐらいにはなるだろうか。

読み返してみるとわかるのだが、大半のアイデアはゴミである。量を書きつけていくので、重複していることも多い。それでも、すべてが無駄というわけではない。いいものが含まれている可能性もそれなりにある。

この方法のどこが素晴らしいかというと、これをやることで「特定のテーマについて、"ある程度"しっかり考えた」ことになるのがいい。もちろん、15分ですべてを出し切れるわけではないが、「なんとなく、頭の中で思っている」レベルよりは、はるかにしっかりと物事が考えられる。

15分なんていう時間は、ぼーっとしているとあっという間に経過してしまうものなので、そのぐらいの短い時間で、ある程度はものが考えられる、というのはかなりいい方法なのではないだろうか。15分とはいえ、一応はまとまった時間、思考しているので、「これについてはもう考えたな」と、自分の中で区切りをつけることができる。そのように、「つらつらと考えなくなる」のが一番の効用かな、と思う。

この方法のいいところは、この手法が使えるのはアイデア出しに限らない、というところだ。テーマは別になんでもいい。言うことをきかない部下にいうことを聞かせるにはどうしたらいいか、でもいいし、失敗したミスをどうやって上司に報告しようか、でもいい。もっと取り留めのない、人生の悩み事みたいなことでもいい。

いろいろアイデアを書きつけても、結局最初のほうのアイデアのほうがよいアイデアが多く、結果的に後半は活用されないことが多いのだが、それでいいのである。一応、いろんなオプションについて考えた、ということになるからだ。「15分」と時間を区切ることで、長い期間、それについてモヤモヤする、ということもなくなる。

悩み事とか不安とかも、基本的にはこのやり方で対応できる。よく「悩み事は書き出せ」というけれど、どれぐらい書き出せばいいのかわからない。15分とかで時間を区切るというのはすごく大事で、それを過ぎたら、もう悩まない、という具合にするといい。

シンプルだけど、意外と万能。「脳のフタを開ける」みたいな行為だからだと思う。

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