見出し画像

結婚式に行ったことがない

これまでの人生で、友人の結婚式に呼ばれて行ったことがない。

例外は兄弟の結婚式で、僕は4人兄弟で兄弟の結婚式には3回行ったことがあるのだが、家族の結婚式に出席するのは「呼ぶ・呼ばれる」という枠の外にあるような気がするので、そこはカウントするべきではないだろう。あと、もうひとつの例外として、中国赴任時に部下の結婚式に行ったのだが、これも上司として行ったため、友人として呼ばれたというカテゴリからは外れると思われる。

この事実を妻に告げたところ、非常に驚かれた。妻は、友人の結婚式に19回出席したことがあるらしい。夫婦でここまで極端な差があると、逆にちょっと面白くなってくる。
 
なぜ結婚式に呼ばれないのかというと、まず友人の絶対数が少ない、ということが挙げられる。そして、僕の友人の大半がまだ独身だし、しかも一生独身でいきそうなやつが何人もいる。

交友関係で親しめの関係の人はネット関係で知り合った人も多く、ネットで知り合った人だと、そもそも相手の本名すらも知らないことが多い(知らなくても問題ないので)。こうやって書いていくと、自分が「現代社会が産んだ化け物」みたいな感じに思えてくるのだが、自分としてはわりと普通に社会生活を送っているつもりである。

いわゆる「グループ」に所属することが極端に少ないので、その関係でお誘いを受ける、ということが少ない、というのはあるかもしれない。大学時代もサークルに所属していなかったし、中高時代も部活などはしていなかった。僕の趣味は読書をしたり、小説を書いたり、作曲をしたり、こうしてブログを書いたりすることだが、どれも集団で成立させる趣味ではなく、個人の活動で完結するものである。

根っからの、個人行動を好む人間なのかもしれない。
 
唯一の例外は、中学・高校時代の同級生のMが結婚するときに招待状がきたのだが、そのときはあいにく海外に駐在していたため出席できなかった。あれに出ていれば、おそらく唯一の「結婚式出席体験」になったというのに、惜しいことをした。


 
なぜ結婚式に呼ばれたことがないかというと、一般的に日本で行われている結婚式が心の底からくだらないものだと思っている、という理由が筆頭にくる。結婚自体は素晴らしいし、祝福したいのだが、どうも日本の結婚式の茶番的な演出がなかなか堪え難い。

わりと似たような価値観の人が友人になることが多く、結婚した友人は何人かいるが、みんな挙式をしていないか、身内だけですませているようだ。類は友を呼ぶ、とはよくいったものである。

よく「海外で挙式すると安い」ということが言われるが、常識的に考えたら海外で挙式をしたほうが高くつくに決まっている。なぜ海外のほうが安くなるのかというと、日本の結婚ブライダル業界が法外に高く請求しているボッタクリのだろう。ボッタクリという言い方が過激だとするならば、機能過剰オーバースペックと言い換えてもいいかもしれない。

まあ、そういったビジネスが現実に成立している以上、僕がとやかく言う必要はないのだけれど、とにかく結婚にまつわる一切合切が法外に高い、と思うのは事実だと思う。


 
しかし、そんな僕でも結婚式の必要性は感じている。そろそろ結婚して1年になるが、コロナ禍ということに甘えて式をやっていないため、結婚が完全に書類上の話になっていて、お互いの家族の交流がほとんどない(コロナ禍だというのもあるが)。

相手の家族に会う機会はあっても、「家族同士」が会う機会って本当にないんだな、ということを痛感している。そういう機会が全くないと、家族同士の交流というのも生まれないと思うので、こんなんでいいのかな……ということを考えた次第である。

Quoraやyahoo知恵袋などで調べてみると、同じように「結婚式に行ったことがない」という人は一定数存在するようである。しかし、考えてみれば、あるグループの結婚式に呼んで・呼ばれてというのをやっていれば、理論的にはグループの人数分、結婚式に行くことになるが、そもそもそういうグループに属していなければ、ゼロ、になるのだろう。

ゼロか多数か、というのが実際のところかもしれない。

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。