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経済がわかりません

岸田総理が「貯蓄から投資へ」というメッセージを発している。個人の投資が加速する社会にしたいらしい。貯蓄をしても経済は回らないので、どんどん消費や投資をして経済を回してほしい、と偉い人は考えるのだろう。

アメリカ人は世界の中でも投資が好きな人が多い国民だと言われる。投資が好きな人が多い、というのがアメリカ経済の発展を支えているのだろう。ベンチャー企業がたくさん生まれるのも、そもそもベンチャーに投資したい、という人が多いから成り立つわけだ。

ベンチャー投資は0か100かの世界で、もしも将来のアップルやグーグルみたいな会社に投資することができれば億万長者になれるが、たいていのベンチャーはそのうち潰れるので、そうなった場合は株式は紙屑へと変わる。でも、そういう投資が好きなマインドの人が多いから、それが発展する土壌があるともいえる。

経済というのは、僕には複雑すぎてなかなか理解できない。理解を助けるためには、もっと単純化したモデルが必要だ。

経済について考えるとき、思い出すのは以下のブログ記事である。

昔のオフラインのゲームだったら、プレイヤーは自分ひとりしかいないものの、多くのプレイヤーが参加しているオンラインゲームでは、独自の経済圏がその世界の中に存在している。このブログ記事では、オンラインゲームであるFinal Fantasy 11の中の経済について書かれている。

曰く、この世界(ヴァナ・ディール)の世界は、その世界のモンスターを狩ることによって得られるギル(お金)によって成り立っており、モンスターを狩るごとにシステムがギルを吐き出し、プレイヤーの所持金が増えるという形で流通するギルがちょっとだけ増える。そのギルを使って世界の中で買い物をしたりして、ゲームを進めていくわけだ。

しかしある時、ものの値段が急激に跳ね上がって、それまで買えていたものが買えなくなったらしい。急激なインフレである。原因はわからないものの、どうやら簡単にお金を稼げる方法があり、それを使って、世界のギルの流通量が大幅に増したことが原因らしい。

それに対して運営側が対策に乗り出し、簡単にお金を稼げる方法を規制したり、手数料を設けるなどして対策に乗り出した。結果的に、インフレは抑えられ、安定的な市民生活が送れるようになった。めでたしめでたし、と。

現実世界の税金もこれと似ていると考えられないだろうか。日本円の流通量を急激に増すと、インフレしてしまい、安定した市民生活が送れないので、税金によって、流通するお金を調整する。日銀や政府がやっているのはこの手の市場操作なのだろう。

税金をゼロにしてしまうと、生まれた付加価値がそのまま円の流通と同じになり、とんでもない社会になってしまう(前述のヴァナ・ディールのインフレと同じような事態になってしまう)。どんなものでも、右から左に動かすときには利益(付加価値)をのせるので、そのぶん円の流通量は増える。また、農業などの一次産業で得られたものは、ゼロからお金を生み出すような作業だともいえる。

一方で、投資というのは要は何か新しい事業をはじめたりするときの元手となるので、貯蓄ではなく投資にお金を回してほしい、というのも理解できる。その回転がよくなればいい社会、ということなのだが。

でもこれって、資本主義の論理でしかないような気がするのだが、気のせいだろうか? このフレームが行き着く先はどこにあるのだろう。

しかし、こういった経済活動を統制した社会主義が失敗したのは歴史が証明しているし、「いまのところの最善手」でしかないとは思うのだが。


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