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今年もSASUKEがやってくる
12月27日、つまり今晩、TBS系でSUSUKEが放映される予定になっている。
僕は基本的に民放を見ないのだが、唯一チェックしている番組といっていい。とはいえ、基本的には年に一度の放映なので、日常的に見るものというよりはイベント的な意味合いが強い。
人気の長寿番組なので、説明は不要だと思うが、数年前から面白いので熱心に見ている。民放のテレビ番組にありがちな、「やらせ」や「台本」がないのが面白さの理由だろうか(本当にないのかはわからないが、あったとしても比較的薄めであると思われる)。
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SUSUKEとは、いわゆる素人参加型のアスレチック企画である。最近、オリンピックでSUSUKEに似た競技が採用されそうだ、という報道もあったけれど、本家SUSUKEはエンタメ番組であり、純粋な競技ではないと思う。
しかし、「純粋な競技ではない」というところが面白さにつながっているのでは、ということを思いついたので、それについて少し考えてみたい。
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先日、プロ格闘ゲーマーの梅原大吾が、視聴者からの質問に答えるライブチャットの切り抜き動画を見ていた。ファンからの質問で、「格闘ゲームはeスポーツではない」という持論を展開している視聴者がいて、なかなか興味深かった。
格闘ゲームというのは、ルールだけが存在するスポーツと違い、民間企業(カプコンなど)が作った製品(ゲーム)を使って行われる。そのため、定期的に新作がリリースされるし、内容もアップデートなどが行われる。
その「アップデート」の中には、キャラクターの強さの調整なども入っている。それまで「強すぎる」キャラがいたとしたら、アップデートによって「弱体化」させられることもある、ということだ。つまり、製作者サイドの恣意的なコントロールの介在を許すことになる。
製品のアプデが頻繁に行われ、前提となるルールが頻繁に変わるようでは、純粋な競技としては認められないだろう。もし、本当に純粋な競技化をするのだとしたら、基準を設け、完全に同じマシンで、同じキャラを使い、同じルールでこれから先もやっていく、みたいな形になるはずだ。だが、それって面白いのか? ということである。
そういった意見に対する梅原大吾の見解としては、「その通りだ」と。なので、格ゲーを純粋な競技としてはそもそもとらえていない、ということだった。視聴者を楽しませることが存在の一義にあるはずだし、そのあたりは、適宜「空気を読む」ということだった。
つまり簡単に言うと、視聴者からみて「ズルい」と思う手は使わず、見ていて興ざめするような戦法はとらない、ということだろう。競技性はもちろんあるし、真剣に取り組んではいるが、「エンタメとして、盛り上げる」ことが一義だからだ。
それはそのまま、SUSUKEにも当てはまるような気がしている。SUSUKEは、完全に作り手の作為に満ちている。もちろん競技者はなるべくフェアな条件で挑戦しているものの、それでも完全にフェアな条件ではない。
雨が降ったりして、優勝候補の人が序盤で沈んだりするようなハプニングも頻繁に起きる。でも、そういうのも含めて、参加者は承諾している。
また、毎回、ギミックが進化し続けているところも、競技として考えるとありえないだろう。しかし、そこがSUSUKEの面白さのキモになっているのだ。
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このように、一見するとエンターテイメント色の強い、言ってみればバカバカしいものに、大の大人が一年かけて準備し、真剣に取り組んでいるところがいい。さて、今年はどうなるのだろうか。
余談だけれど、この番組はYouTubeの活用の仕方が素晴らしい、と思っている。放送されるのが毎年年末なので、いわばその時が「シーズン」なわけだが、それとは全然関係ない期間、いわば「オフシーズン」も、有力選手への取材を重ね、その姿を追っているのだ。
SUSUKEファンとしては年間を通じて楽しめる仕様になっているところがいい。今日も日本のどこかで、彼らは練習をしているのだろう。
今晩の放送は、早めに仕事を終えて、じっくり見ようと思います。
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