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声でお知らせ願いたい

平日の朝、奥さんが出かける支度をしていたとき、「いま何時?」と訊かれたので、時計を見て、そのときの時間を答えた。

奥さんは洗面台で髪を巻いたりしていて、忙しそうだ。その状態で時計は見れないだろう、と思って、冗談半分で、スマホのアラームを一分おきに設定し、一分進むたびに最新の時間をおしらせした。
 
あとでその話をしたところ、「あの時間を逐一お知らせする仕組みがとてもよかった」と奥さんに好評だった。手を離さずに時間がわかるので、とてもよい、とのことだった。
 
そういえば、昔、祖父の家に、ボタンを押すと音声で時間を教えてくれる置き時計があった。別に身内に盲目の人がいたわけでもないのだが、新し物好きの祖父が洒落で買ったのだろう。

そのとき、「一分ごとに時間を読み上げるモード」というのが、確かあった気がした。それがあったのは20年ほど前なのだが、別に技術的には難しいことなど何もないので、スマホのアプリで似たような機能のものが存在するのではないか、と検索してみたところ、やはり類似のものが存在した。

一分ごとに読み上げてくれるモードもあるが、5分おきや10分おき、30分おきなど、さらに時間を細かく設定することができる。たとえば15分で設定すると、4時00分、4時15分、4時30分などのように、切りのいいところで知らせてくれる。これは便利だ。
 
考えてみれば、重要な時刻は音声で知ることが多いな、と思う。学校のチャイムがその代表だろう。視覚的な情報の場合、必ず視界に情報を差し込むのは難しいが、音声ならば、何かをしていても強制的に耳に情報が届く。

また、視界が遮られたりして作業が中断することもないので、都合がいいのだろう。そういえば、将棋の対局のときも、残り時間が少なくなってくると、秒読みが行われる。

時間を知るには、音声のほうが相性がいいのかもしれない。
 
以前、トラックでコンビニにパンの配送をしていたとき、主に深夜帯の時間から昼ぐらいにかけて配送していたのだけれど、FMラジオをつけっぱなしにして聞いていた。毎日毎日、同じコースを走っていると、だんだんラジオ番組と自分の走っているコースが連動してくる。

「昨日はこの番組がはじまるときにはあの店にいたのに、今日はだいぶ遅れてるな。」みたいな時間感覚が、ラジオ番組の進行度合いでわかるようになったのだ。このときも、運転をしているので、逐一時計を見るような余裕はない。

だんだんやっていくうちにこの感覚というのは染み込んでくるので、ラジオは運転中の楽しみでもあったが、重要な時計でもあった。

音声時報のアプリと同じ作者で、音声タイマーや音声ストップウォッチなどもあったので、合わせて活用していきたい。これは自分にとってはキラーアプリケーションになりそう。

完全に、アイデアの勝利ですね。

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