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それでも将棋は面白い
南Q太の将棋漫画「ひらけ駒!」を読んだ。
以前から読んでみたかった本ではあるのだが、kindle unlimitedで配信されていたので、サブスクで読むことができた。
どういう話なのかというと、将棋を指す小学生の少年「宝」と、その母親の話。それだけ。「宝」は、最初アマ二段の棋力なのだが、将棋教室の人たちや、その周辺の人たちのあいだで揉まれながら成長していく。ストーリーラインとしては、ただそれだけ。
自分が将棋を指しているからか、ただ「それだけ」の話なのに、めっぽう面白い。ちょっとしたことにもいちいち共感してしまう。
主人公の「宝」は、めきめき棋力があがっていく伸び盛りの年齢なので、やはり「強くなる」ことを意識した、勝利と挫折について描かれるシーンが多い。
一方で、息子に影響されて将棋を習い始める母親がメインになるパートもあり、将棋初心者ながらも勝負の駆け引きをエンジョイする様子が描かれている。……が、こちらのパートの描写がいやに細かいので、ついのめりこんでしまう。
(南Q太「ひらけ駒!(2)」より引用)
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レビューを見てみると、概ね高評価ではあるものの、なかには否定的なレビューがあった。
「宝がプロを目指す話かと思ったら、そうでもない」とのことで、「強さを追い求めるストーリーが主軸」の将棋漫画を期待していたらしい。確かに、本作はそういう立ち位置の作品ではない。そこで、将棋漫画って世の中にたくさんあるけれど、作品によって描くことが全く違うんだな、と思った。
もしかしたら、辛いコメントを残していたレビュワーは、たとえば少年が碁打ちのトッププロを目指す「ヒカルの碁」みたいなのをイメージしていたのかもしれない。
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スポーツでもなんでもそうだが、「プロになれない・プロにならない」のならば、なぜそれをやる意味があるのか、ということを考えた時期が自分にもあった。主に、大学生ぐらいまでの、うんと若いときの話だが。
しかし、将棋はどういう棋力であれ、「指すだけで」べらぼうに面白い。なので、「将棋を指す人」には、アマチュアのみならずその人その人のドラマがある。プロのみならず、アマチュアはアマチュアでプロとは違う人生を歩んでいるわけで、面白みはあるのだ。
藤井聡太竜王のようなトッププロが指す将棋が将棋であるわけではない。将棋系YouTuberとして活躍している動画を見たりしても、いろんな形で「将棋を楽しむ」ことはできるんだなあと。
これからも、楽しんで将棋を指していきたい。
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