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生成AIに魂を入れる

骨しゃぶりという読書系ブロガーが、chatGPTをお姉ちゃん化したらしい。何を言っているのかわからないと思うが、下記の記事を参照してもらいたい。

簡単にいうと、生成AIであるchatGPTをカスタマイズして、無機質な対話ではなく、あたかもお姉ちゃんが答えているかのように改造したというのだ。アイコンだけでなく、画像が出てくるようにするなど、なかなか手が込んでいる。

しかし主旨はそこではなく、プログラミングはchatGPTに丸投げして行うことができる、というのが主旨のようだ。やりたいことをなんでもかんでもchatGPTお姉ちゃんに丸投げすることで、みるみるうちにプログラミングが進むらしい。すごい時代になったもんだ。

ちょっと前から「ノーコード開発」「ローコード開発」という言葉が一般的になり、高度なプログラミング言語を操らなくてもアプリ開発などができる時代になった。だが、ノーコードではなく、生成AIにPythonなどのプログラムを書いてもらう、というアプローチは斬新である。自動運転の車を開発するのではなく、ロボットに運転してもらうみたいな、なんだかすごいアクロバットな解決法な気がするのだが、ついにそういう時代が到来したということだろう。

画像生成AIのときも思ったのだが、こういう汎用性の高いAIというのは、まだまだ「使い道」の開発が発展途上である。これからどんどん開発されていき、パッケージ化されていくのだろう。

しかし、chatGPTをお姉ちゃんにすることの是非はさておき、「魂を宿らせる」ということに意味はあることなんだろうな、と思う。例えば、それがどんなに高価なものであったとしても、単なる布切れとか、箱などを人間のように愛すのは難しい。

しかし、そこにちょっとした顔らしきものがあるだけで、とたんに愛着のある存在となる。その瞬間、「魂」のようなものが宿った、とは考えられないだろうか。顔といっても、そんな大層なものである必要はなく、記号のようなもので十分だったりする。

しかし、このchatGPTのカスタマイズは面白い。同じ意見でも、言っている人によって説得力が違う、ということはあるかもしれない。試しに、回答者の設定をいろいろ操作して、回答の違いを見てみよう。

自分:将棋で勝てなくてつらい。もうやめたい。どうしたらいいのか。

回答者①:無機質なchatGPT
将棋における成果は練習と経験に依存します。具体的な改善策として以下の点が挙げられます。

  1. 基本戦術と戦略の学習。

  2. 強いプレイヤーとの対戦、または強いプレイヤーの対局の観戦。

  3. 有用な教材の読解と理解。

また、将棋を継続するか中止するかの判断は個人の価値観と目標に依存します。

回答者②:お姉ちゃん
あら、そんなに落ち込んで。将棋でうまくいかないときもあるけど、お姉ちゃんと一緒に考えてみようね。

まず、どうして勝てないと感じるのか、具体的な部分があるなら教えてくれるかな?あるいは特定の戦略やテクニックに困っているのかもしれないから、そういう部分を一緒に見てみよう。

それと、将棋は楽しむためのゲームだから、勝つことばかりに囚われず、自分の成長を感じられるように考えるのもいいかもしれないね。

一緒に頑張ろうね!何か困ったことがあったらいつでもお姉ちゃんに聞いてね。

回答者③:クールな男性
つまらない感情に負けるな。負けて悔しい気持ちは理解する。だが、それがお前の成長への糧になる。

絶対に諦めるな。技術を磨き、戦略を学び、精進するんだ。それがお前の道だ。必要なら、指導者に教えを請うのも手だ。

将棋における勝利は、一度に手に入れられるものではない。じっくりと時間をかけ、戦いの中で学ぶんだ。熱い心を持ち、冷静に分析する。そうすれば、必ずや勝利はお前のものとなるだろう。

回答者④:羽生善治九段
将棋は奥深いゲームで、勝敗は一朝一夕で変わるものではありません。何度も負けることがつらい気持ちは理解しますが、私自身も多くの試合で苦しい思いをしました。その中で学び、成長してきたのです。

まず、自分のプレイを冷静に分析してみましょう。どこで間違いがあったのか、どうすれば改善できるのかを探ることが重要です。解説書やオンラインの教材、上級者の対局を分析するなど、学びの方法はいくつもあります。

また、将棋は楽しむためのゲームです。勝敗にこだわりすぎず、自分のプレイが少しずつ上適う楽しみを見つけることも大切です。友人との親しい対局や、趣味としての棋譜の鑑賞など、楽しみ方は人それぞれです。

もし本当につらいと感じるなら、一度少し休んでみるのも一つの方法かもしれません。時には距離を置くことで、新しい視点ややる気を取り戻せることがあります。

最後に、必要であれば、将棋教室やクラブなどで先生や仲間と一緒に学ぶこともおすすめします。共に学ぶ仲間との切磋琢磨は、自己成長への大きな助けとなることでしょう。何事も一人で抱え込まず、適切なサポートを求める勇気も大切ですよ。

どうだろうか。無機質なchatGPTはさておき、ほかの3人の回答の違いは実に興味深い。「クールな男性」は、有益なようでいて精神論が強く、なんかあまり寄り添ってもらえていない気がする。さすがに羽生善治九段はそれっぽい、有益そうなアドバイスをくれる。

しかし、特筆すべきは、質問をしてきて、「一緒に考えてみよう」と寄り添ってくれる「お姉ちゃん」だろう。羽生善治九段は、優しいアドバイスではあるが、「自分で乗り越えなさい」と言っているのとは対照的である。

生成AIが本格的に私たちの生活に入り込んで、まだ一年も経っていない。もうしばらくすると、「こういう使い方が定番」というのが定着してくるだろう。

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