見出し画像

目標と目的のあいだ

転職してIT企業に入社したのだけれど、企業文化というか、展開している業態によって重視しているところが違うので、面白いな、と感じている。
 
僕が今までやってきた仕事は、直接顧客と応対して、仕事を刈り取ってくるスタイルの仕事だ。僕自身は営業職ではなかったけれど、営業っぽいことをかなりやっていた。

そもそも、実際に取ってきた仕事を手掛けるオペレーションの人も、結局は顧客と対話しなければならないわけで、広い意味では営業の素質がないと難しいのかもしれない。
 
そういう環境だったから、けっこう「売り上げ」は意識しなければならなかった。要するに、自分が顧客とどう交渉してくるかで会社自体の成績が左右されるわけだから、なるべく高い値段で売って、安いコストで仕入れる、ということを求められていたわけだ。
 
一般向けのウェブサイトを展開するIT企業となると、これが変わってくる。もちろん顧客はいるのだけれど、対象が一般の人たちなので、ひとりひとりに「どうですか」と声をかけて売っていくわけではない。ウェブサイトの中身を使いやすくしたり、サービスを充実させたりして、マスの数字を伸ばしていくのだ。

つまり、売り上げは意識はするけれども、各部署が目標としている指標は、売り上げとはまた別のところにある。ある意味、ブログやnoteの運営に近いかもしれない。

僕も毎日これらを更新して、細かく数値をとっている。数値が伸びたものが需要があるものだと判断して、書く内容をそれに沿ったものに変えたりしている(だいたい、タイトルを変えるだけで影響があることも多いが)。僕も、月々で目標とするPV数だったり、フォロワー数というのを持っているが、それが直接どうなる、というわけではない。

しかし、何かを運営するということは、そういう指標をきちんともつことなのかな、と。


 
こないだ、オンラインで全社ミーティングがあったのだけれど、もちろん売り上げや規模についても報告があったのだが、「じゃあどうやってこれを改善していくのか?」については、施策がどれも間接的だったので面白いな、と思った。

要するに、いいサービスを作るのが先で、次にそれをユーザーに知ってもらう。お金をもらうのはそのあと、というわけだ。
 
でも、実績を見れば、収益は今まで勤めていた会社とは比にならなかったので、すごいな、と思った(もちろん、そもそもの規模が大きい、ということもあるが)。商売の基本は同じといっても、アプローチの仕方はいろいろあるんだな、と感心した。
 
デジタルトランスフォーメーションという言葉が最近出てきて、それを進めるように盛んに言われているけれど、どうアプローチしていくか、業界ごとに特徴があるんだろうな、と思う。いまはAmazonがものすごく巨大な企業になって、市場を席巻しているけれど、あれも「物流」という、言ってみれば泥臭いところにITの技術を取り込んだわけだ。

それでいて、ユーザー側からみればネットでいろんな買い物ができる、という「シンプルな体験」になっているわけで、その裏でどういう企業努力を重ねているかどうかは知ることができないし、関心もないだろう(僕は個人的に、あるが)。


 
結局何を思ったのかというと、ユーザーに直接向き合って、直接サービスを提供しているIT企業のほうが、けっこう「ピュア」なのでは、ということ。今までやってきたことは、「詐欺」というと言い過ぎだけれど、本当にユーザーにとってベストの選択ではなく、こちらの利益のことをを考えて誘導してきた部分も多々あるので。 転職して、いろんな会社の文化を知る、というのは面白いですね。

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。