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なかなかセールに便乗できない

今年もまた、ブラックフライデーの季節がやってきた。もともと日本ではあまり馴染みがない商習慣だったと思うのだが、いつの間にか定着したらしい。先日、とある定食屋のテレビで、AmazonがCMをやっているのを見かけたので、主にAmazonからの影響だろうか。

簡単にいうとセールのことであり、年末商戦のことである。アメリカでは、クリスマス商戦に加えてこのブラックフライデーというのが重要な位置付けとされている。メーカーや小売からしたら、今年の売り上げを左右する重要なセールの位置付けなのだろう。

最近、物欲が本当になくなってきた。もともとそれほどある方でもないのだが、年々輪をかけて欲しいものがなくなっている。先日iPad miniが欲しいと一瞬思ったのだが、不要だと思い直して結局買っていない。

iPadは持っているし、iPhoneも普通に使えているので必要性はないな、と判断したのだ。買ってもよかったのだが、躊躇しているうちに欲しいという意欲が減退してしまった。

また、Ankerのヘッドホンが欲しいとも思ったのだが、これも買っていない。結構音質の良いイヤホンを持っているし、持っているヘッドフォンもまだ使えるので、特に買い替えの必要性を感じていないからだ。

強いていうなら掃除機がちょっと欲しいかなと思ったのだけれど、今使っている掃除機も一応まだ使えてはいるし、それほど買い替えの必要性を感じない。今年は暖房費を少し抑えるために電気毛布を買おうと思っているのだが、これはセールとは無関係に買おうと思っていたものなので、もし安くなっているようだったら検討してみるのもありかなと思っている。

しかし僕の物欲なんてのは所詮その程度である。いまの時点でじゅうぶん生活は成り立っているので、何かを買うとしても「買い替え」が主となるのだが、その買い替えも特に必要性を感じていない、という状況である。

よくブログやYouTubeのフォーマットとして、「今年買って良かったものリスト」みたいなものがあるが、僕の場合、自分があまりにもものを買わなさすぎるので、そういったリストを作ることの張り合いのなさがすごい。

ちなみに今年買って一番良かったな、と感じているのは自転車のチェーンにさす潤滑剤である。今まで自転車のチェーンがギコギコと錆びついた音を出していたので、何か対策できないかと思っていたのだが、潤滑剤をさしてみると音が全くしなくなり非常にスムーズになった。

しかしこれは1000円もしないものなので、1000円もしない価格で自分の物欲を満たすことができるのかと逆に驚いている。

性格によるところも大きいのだが、「安売りに乗じてものを買う」という発想があんまりない。というより、ものを買うという行為には「悲しみ」がつきまとうリスクがある、というのが自分の感覚である。

ものを買っても、それを自分が有効活用できないと非常に悲しい気分になるのである。逆に言うと、それがどんなに高価なものであっても、十分に有効活用できるという確信があれば、買おう、という判断となる。

たとえ安物であっても、十分に活用されずに放置され、ほこりをかぶってしまうと非常に悲しい気持ちになる。しかもそれが計画的に購入したうえでハズレだったならまだいいが、衝動的に買ってしまった場合、申し訳ない気持ちになってしまう。

そもそも何かを買うということは買ったものを使わなければならないという気分が生じる。そのためどうも窮屈に感じてしまうのだ。

ブラックフライデーで安売りになることがわかっていたとしても、自分が欲しいタイミングというものもある。自分の欲しいものが欲しいタイミングで安売りになっているのであればいいのかもしれないが、それが一致する確率というのはそんなに大きくないような気がする。

自分の場合は、今この時点で欲しいものが全くないので、改めて欲しいものを探しに出るのは非常に愚かなことである。なので何も買わないと言う選択肢に至るというわけだ。

無駄な買い物をせずに、幸せに生きられるのであれば、それが一番である。メーカーや小売からしたら、これほど張り合いのない消費者はいないかもしれないが……。

あらためて、セール品を巡回していたら、ネコ用のAI見守りトイレが安売りになっているのを発見した。たまに買いたいものがあると思ったら、自分用ではない、ということも増えていくような気がする。


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