カットして、身軽になって、自由になる
Twitterの買収を完了させたイーロン・マスクがバサバサと従業員を解雇していることがニュースとして連日話題になっている。
成田悠輔氏も言っていたのだが、そもそも特定の企業の内情がこれだけ連日ニュースになるというのは史上例がないので、とんでもない広告宣伝になっているのでは、ということだ。確かに、これだけ一般ニュースで取り上げられていたら、誰でも「Twitterで何かが起きている」のは知っている。
日本では、あまりにもエンジニアを解雇しまくっているので、Twitterサービスが終了するんじゃないかということを危惧している人もいるけれど、僕はなくならないのでは、と思っている。いまは、マスク氏によって、痛みを伴う「外科手術」を行なっているだけだと思っている。
何をやるべきかはわかっても、ちゃんと実行できるところがイーロンマスクのすごいところだ。
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なぜそんな無茶なことをしているのか。簡単に言うと、Twitterが大赤字だからである。
赤字企業を再生させるのに、一番効果的なのは従業員の解雇をはじめとしたコストカットである。個人の支出に置き換えても似たようなことが言える。給料をいきなり増やすのは難しいが、いらない支出をカットするほうが簡単だし、影響も大きい。
Twitterは7000人以上も社員がいたらしいのだが、組織を小さくして、ハードワークをする有能なチームにしたほうが機動力もあがる、というのがマスクの判断だ。報道されているニュースによれば、首を切られた社員の多くは、Twitterの不正な投稿などを監視するチームだったらしい。
しかし、マスクにとっては、「赤字を改善する」のも目的のひとつだろうが、「Twitterを民主化したい」という思いもあってのことなのだろう。「投稿内容を監視する」とは、一体なんの権限でやっていることなのか? という思いがあるのかもしれない。
実際のところ、おそらくツイートを監視しているのは、広告を出してくれている企業に配慮してのことなのでは、と思っている。もしそうだとしたら、それは秩序を保つというよりは、ただのパフォーマンス、ということになる。
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個人の支出について考えるときに、よく思うことがある。僕はいわゆる買い物における「ポイント」が嫌いで、ポイントカードをあまり作らない傾向にある(日常的によく行く弁当屋と、タイ料理屋のポイントカードぐらいだ)。
常にポイントに目を光らせ、「お得な」行動を追い求めるのは、ゲーム感覚で楽しむ分にはいいかもしれないが、そういう消費行動をとっても結果としては全然「お買い得」ではないだろう、と思っている。
ポイントという餌によって、こちらの自由が制限されるのが嫌なのだ。ポイントカードによって「お買い得」だと思うかもしれないが、実際は、ポイントカードを持つことによって、「そこでしか買い物ができない」という自由を制限されている。
よくある「2個買ったら3個目はタダであげます」と言われるような場合であっても、いらないときはタダでもらえるものを断ったりすることもある。いらないものは、たとえタダでもいらないのだ。
経営において、設備や人員についても同じようなことが言えるのだろう。何かを「持つ」ということは、「使わなければならない」ということだ。どんどん手放していけば、どんどん自由になり、選択肢は広がっていく。新しいことをやるときには、身軽であればあるほどいい。
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Twitterのこの「解雇騒動」によって、優秀なエンジニアは寄り付かないんじゃないか、とも言われているけれど、僕は実際には逆で、腕に自信のあるエンジニアがこぞって集まってくるんじゃないか、と思っている。本能的に、「高いハードルを求めて、ハイレベルな人ばかりが集まる場所を目指す」という人はいるからだ。ましてや、これだけ大々的に報道されていたらなおさらだろう。
解雇されてしまった従業員は気の毒ではあるけれど、マスク氏は赤字企業を立て直すための当然のことをやっているだけなのだろう。
イーロンマスクにとって、「並の社員」というのは、ポイントカードのように「いらない存在」なのだろう。そういうのをぶった切っていくことによって、どう変化するのかというのは、ユーザーとしては非常に楽しみである。
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