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指数関数的に複雑になる未来予測

最近、将棋アプリで毎日対局している。主にやっているモードが「10分切れ負け」というもので、持ち時間が10分だけ。そのタイムリミットを迎えると時間切れで負けてしまう。

しかし、どんなに長くても20分を超えない点が気軽なので、気楽に将棋を指すことができる。
 
将棋は「先を読むゲーム」だ。相手がどう動くかを予測して、自分の駒を進めていく。アマチュアとプロの一番の違いは、この「読み」の深さと広さらしい。

とはいえ、いかにプロとはいっても、序盤から終盤までを見通しているわけではなく、基本は3手先、多くて5手先程度しか読んでいないようだ。
 
3手先しか読んでない、というと、わりと素人でも読めそうに思える。しかし、将棋ではだいたい有効な選択肢はひとつの局面において5手程度あると言われているので、1手先は5通り。しかし、相手も有効な手が5手あるとしたら、5×5で25通りになる。そこに対して、自分も5通りだとしたら、25×5で125手も読まなければならないのだ。

このように、「1手先を読む」ごとに、5の階乗が増えていく……という仕組みになる。なので、「1手先を読む」と、難易度が指数関数的に増していくことがわかる。


 
3手先を読むのが基本なのだけれど、それでも125手もあるわけで、容易ではない。僕の場合、まだ初心者の領域なので、相手の手が全然読めない。予想外のところから持ち駒が飛んできたり、変なところから角が飛んできてびっくりするみたいな、そんなレベルだ。

追い詰めて、これは受け切れないだろうと思ったら、王手をかけられて、混乱に乗じて逃げられたり。いやいや、本当に奥が深いゲームだと思う。
 
基本的に5の階乗で読める手が増えていくのだとすると、10手先を読もうと思ったら、100万手ほど読まなければならない。以前、羽生善治が対談で「1000の単位で読もうとすると、30分から1時間ぐらいかかる」ということを言っていたけれど、それは要するに4~5手先を読む、ということのようだ。

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もちろん、終盤戦で、詰将棋のような展開になっていたとしたらその限りではないのだけれど。


 
将棋を指していて思うのが、これほど完全に情報が公開されていて、運の要素が全くないゲームですら、先が読めないのだから、現実世界で未来を予測するのがいかに困難か、ということだ。
 
ただ、将棋の世界と違い、現実世界は、「行動の量」は自ら決定することができるので、たくさん手を打っているは勝ちやすい、ということになるのかもしれない。

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