ファッションを信じますか?

就任したてのバイデン米大統領が初の首脳会談相手に選んだのが我らが菅義偉首相ということで、菅首相は政府専用機でアメリカに旅立った。

トランプ元大統領と安倍首相が並んでゴルフとかしていたのは記憶に新しいけれど、いまでは両人とも政権の中枢を離れ、バイデン氏と菅首相という、新メンバー同士での首脳会談となった。

なんというか、キャラが濃すぎる前回と比較すると、ずいぶんと控えめというか、対象的な二人が引き合うことになったな、と率直に思う。もっとも、菅首相が相対する相手がトランプだった場合、ちょっとキャラ負けしすぎる、ということがあったかもしれないから、これぐらいがちょうどいいのかもしれないが。
 
一方で、ネットではその「スーツ姿」に注目が集まった。菅首相は、なんともダボダボのスーツで、サイズがあっていない、というのだ。確かに、写真を見てみると、だいぶサイズが余っているように感じる。

ネットでは「オーダースーツにしたらいいのに」というコメントが相次いでいたけれど、「菅義偉 スーツ」とググってみると、オーダースーツで菅首相の仕立てをしたというテイラーの情報がヒットしたので、おそらくオーダースーツなのだろう。ダイエットをして体型が変わったからなのでは、という意見もあったのだけれど、真相はわからない。
 
そういえば、昔よく巡回していたブログで、「政治家のスーツ」について「のみ」言及している非常にマニアックなブログがあった。残念ながら、もう数年前に更新が途絶えてしまっているのだが、当時の首相などの国会議員のスーツやネクタイについて、熱く語っていた。

面白いのは、それはなんらかの政治信条があってのブログではなくて、純粋に「スーツの着こなし」についてのみ語られていた、という点だろう。与党も野党も右も左も分け隔てなくレビューされていた(全体としては、露出の多い閣僚が多かった印象だが)。

なるほど、そういうところに着眼する人がいるのか、と興味深く読んでいたのを覚えている。政治家にしても、あきらかに気合いの入っている人と、そうでない人はわりと鮮明なので、面白いところではある。


 
僕はファッションにはほとんど、というかほぼ全く関心はない。確かに他人に自分のことを爽やかに印象づけたり、などとプラスの効用がある、というのは確かなのだろう、とは思う。

中には、自分の身の丈よりも高級なファッションに身に包むことで、「それにふさわしい自分になる」と言っている人もいるが、自分にはあまりよくわからない価値観だ。今までの経験に照らして、第一印象が死ぬほど悪い人が、実際に付き合ってみると素晴らしい人間だった、ということはよくある。高級なブランドに身を包んでいる人がいると、シンプルに「うさんくさい」と思ってしまう……。

また、見た目が爽やかで、第一印象が素晴らしい人間ほど、時間が経つにつれ評価が下がっていく、ということがよくあった。だからといって、第一印象を悪くしたらいい、ということにはもちろんならないが……。


 
とはいえ、菅首相のスーツ姿を見ていると、あんまりオーラが感じられないので、ある程度はセンスが必要なのかもな、ということを感じる。別に自分の身の丈をよりよく見せることに労力を使う必要はないが、最低限のレベルまで持っていくことは、マイナスに見せないためにも必要だろう。

要するに、ファッションにあまり関心がないと思われるので、完全に人に任せたらいいんじゃないですかね。ファッションに関心のない人ほど、コーディネーターが必要なのかもしれない。

とはいえ、ネットには「あえて野暮ったく見せる作戦かも」みたいなことを書いている人がいて、そういう可能性もなくはないかな。ファッションの世界に正解はないので、「そういうファッションです」といえばなんとでもいえるのかもしれないが。

「自分はこういう人間です」ということを端的に表現できる、シンプルなものがあるといいですね。気に入ったブランドがあれば、それをずっと着続ける、みたいなのが自分には合うみたいです。

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