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知識によって、世界の見え方が変わる

最近、部署異動があったのだが、少し職位が上がって、自分のチームをもつようになった。もともと営業をやる部署に入社したわけではなかったのに、営業のような部署に配属されることになった(IT企業だが、直接何か商品を販売するような仕事ではない)。

異動直後は少し不満があったものの、職位があがってからは忙しくなり、あんまり不満に思うような余裕もなくなってきた。やはり人間、暇になるといろいろなことを考えてしまうが、忙しくしているとネガティブなことを考えずにすむのかもしれない。

昇進したのはいいものの、業務知識が不足しているので、メンバーに教えてもらいながらやっている。まあ、これはこれで楽しい。

観察していると、だんだんメンバーのことがわかってきた。最初のうちは業務知識を吸収するだけで精一杯だったのだが、だんだん、もう少し冷静に見れるようになってきた。

ここひと月ほどで、自分の知識量が格段にアップしたからだろう、と思っている。自分の状態が変わると、少し見え方が変わってくる。たとえば、商談に同席したりすると、比較対象がたくさんできて、みんなの「実力」みたいなものが見えてくるのだ。

自分の持っている知識量によって、世界の見え方は変わってくる。仕事の世界では、知識がないと、普通にぼったくられる。きちんとした知識をもっている人間からすれば、知識のない人間を騙すのは簡単である。見えている世界の解像度が違うからだろう。

前職はややニッチで専門的なことをするベンチャー企業だったのだが、取引先の担当者の知識量がまちまちで、どれだけ相手に知識があるかによって、「煙に巻けるか」といったことが違ったりした。

もちろん騙すわけではないが、こちらに有利に話が進められるかどうかは、その分野にどれだけ詳しいかで決まってくる。やはり、現場のたたき上げで、百戦錬磨みたいな人は本当に手強い。特に、こちらよりも知識のある人間とやりとりするのは本当に大変だった。

なので、たとえ自分が現場から離れるようになっても、現場の細かいことをちゃんと知っておくのは大事なことだと思っている。マイクロソフトのビル・ゲイツは、自分でコードを書かなくなっても、製品の隅々までよく把握していて、「誰よりも詳しかった」とする逸話がある。

さすがにそこまではいけないが、何かを「判断する」うえでは、どれだけ情報があるかによって精度が大きく変わってくるだろう。

自分はどちらかというと、これまでのキャリアでは営業がメインではなく、いろいろなことをやるうちのひとつの仕事に営業があった、という感じである(会社の規模が小さかった、というのもある)。

一方、自分のチームメンバーは、「新卒のときからずっと営業でした」みたいな人が多く、そういう人と比較すると「営業」というポジションに対する、考え方の違いみたいなものを感じる。

メンバーの一人は、とにかく客先に行って、客と話すのが好きらしい。問題解決が好きだとか、仕事の背景や構造を知るのが好きというわけではなく、ただ話すのが好きなようだ。

そのあたりの感覚はなんとなく違うな、と感じる。そもそも、僕は営業という仕事が好きというわけでもない。

顧客の状態は顧客が一番よく知っているので、情報収集をするつもりで営業している。つまり、インタビューしている感じである。それを聞いたうえで、この解決策がいいのでは、と考えるのが楽しい。まあ、スタイルはそれぞれ、といったところだろうか。

いろんなタイプがいるから仕事はうまく回っていく。それぞれの特性を把握しながら、チームビルディングをしていきたいと思う。

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