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ボーナス、嬉しいですか?

冬のボーナスの時期がやってきた。世間ではコロナ禍で給料が下がって生活できない、と言っている人がよくフォーカスされているけれど、年収や月収以上に格差が現れやすいのがボーナスではないだろうか。
 
忘れもしないのは、僕が新卒で入った会社でもらった最初のボーナス(入社2年目)は、「5万円」だった(正確には6万弱だった)。今考えるとなかなか衝撃的なのだが、当時はまだ世間の常識というものがわかっていなかったので、「まあ、こんなものか」という感じだった。

その額では生活費の足しにするぐらいしか使い道がないので、せっかくだから何か買ってみるか、ということでニコンのデジカメを買った。iPhoneで綺麗な写真が撮れる今となってはあまり使い道がないが、ちゃんと持っている。


 
だが、当時は僕はトラックの運転手をしており、深夜勤務の肉体労働者だったので、月収はそれなりにあった。新卒二年目にして、額面は30万円を超えていたから、なかなかではないだろうか。

だから、別に生活には困っていなかったし、むしろその後、本社勤務になったときはいろんな手当がなくなって、一気に収入が減ったのを覚えている。つまり、僕が最初に入った物流業界は、あまり「ボーナス」という概念が浸透していなかった業界なので、むしろボーナスが出るというだけで優良企業の部類だったのだろう。

自分の感覚としても、ボーナスが少なくて不満ということはなかったのだけれど、周囲の別業種の人と比較すると異様に少ないことがわかって、なんとなくみじめな思いをしたことはある。つまり、自分がおいしいおいしいと思って食べていたものを、他人が「こんなのおいしくないよね」などと言いながら蔑んでくるようなものである。
 
でも、非正規の人はボーナスはもらえないことが多いし、自営業の人ももちろんない。会社経営者になれば、ボーナスはむしろ「払う側」なので、血を吐く思いで払ったボーナスに対して「ウチってなんかボーナス少ないよね」みたいな反応をされることだってきっとあるだろう。

立場によって変わってくるのがボーナスだといえるかもしれない。


 
一方で、テレビなどを見ると、「普段から家計は赤字で、ボーナスでその赤字分を補填している」という意見も見られる。元々の収入が少ないのか、収入に見合った生活をしていないのかはわからないが、かなり危険な生活スタイルだと思う。

逆に経営者目線で見ると、普段の月給を少なくして、ボーナスで大きく返す、みたいなスタイルだと景気が悪くなったときに調整がしやすい。結局のところ、見え方の問題なのかな、と。
 
まあ、格差が見えやすいのがボーナスなので、あまりそれについて気にしないのが一番じゃないでしょうか。業種によってだいぶ異なる、というのが実情のようです。

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