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またSASUKEの季節がやってきた

年末になり、TBS系で昔から放送されているSASUKEの季節が近づいてきた。

この話題はこのnoteの読者層とちょっと噛み合ってないような気がするが(笑)、自分が書きたいことを書く場なので気にせず書いてみる。

僕は民放の番組はほぼ見ない。実質的に皆無だと言っていい。唯一の例外がこのSASUKEである。なぜこの番組が好きなのかはよくわからないのだが、子供のころから知っているコンテンツだから馴染みがある、というのがあるかもしれない。

見れば見るほど、この番組は他のテレビ番組と比べると特殊な番組だな、と思う。最大の特徴は、台本なしで完全にガチンコでやっている、という点だろうか。

もちろん、他の番組でも完全にガチでやっているところもあるのだろうが、この番組のガチっぽさはかなり本物だと思う。他の番組だと「盛り上げよう」という意図で色々と仕掛けたりするのだろうけれど、SASUKEはそういったことをしないほうが盛り上がる、というのがわかっているからかもしれない。予定調和で終わらないところが面白い。

といっても昔からずっと見ていたわけではなく、リアルタイムで見ているのはここ3年ほどである。その頃からなぜかちょっとしたファンになり、追いかけている。おそらく公式のYouTubeチャンネルが積極的に動画をアップしているため、最新状況や舞台裏が把握できる点が大きいかもしれない。

優秀な選手が数多くいて、彼らの活躍を見るのが面白いのだが、それ以外の人にもドラマがあるところがこの番組の魅力だと思う。100人100業種ということでいろんな人が挑戦するのだが、中心は一般人である。一方で、アイドルなどもアイドル枠として出てくるのだが、「出場できる」というところまでが特権で、一旦はじまってしまえばあとは平等である。

アイドルでイケメンだから一番人気、というわけではない。それよりも結果を出す一般人の方が注目される。そこがすごいなと思う。

この番組の好きなところは、もちろんガチンコでやっているところも大きいのだが、有機的に盛り上がってきたから、というのがある。番組予算が潤沢で、SASUKEセットは毎回制作費が1億円を超えると言われるが、だからすごいというわけではない。

単に予算をかけただけの番組というわけではなく、そもそも熱量の高い選手がたくさんいて、それを支える視聴者たちがいる。その3つの要素で、時間をかけていまの形に成長してきたところが好きなところなのかもしれない。

個人的に研究をし、SASUKEに関してはそれなりに詳しくなってきたので、また違う見方をしている。先日、SASUKEの公式本が出たのだが、第一回の時から登場している皆勤賞の山本慎吾という人のインタビューパートがあった。

もう40回も大会に出場しているため、モチベーションが下がってきてしまった時期があったらしい。その時に、総合演出の乾さんから、「今回、ファーストステージで落ちたら引退な」と言われた、という裏話があった。

それでプレッシャーを感じてしまい、結果も実際にダメだったのだが、そのあと乾さんに電話をし、予選会からやり直させてもらった、というエピソードがある。出場者枠は100人だが、出たいと希望する人たちは大勢いるため、ある程度の人気があっても、モチベーションが低くなったり、結果が出ないと容赦なく切られてしまう、と。

SASUKE界の有名人で、松田さんという人がいる。彼は自宅の庭にSASUKEの本物ばりのすごいセットを作り、そのセットで練習するためにいろんな人が練習に訪れている。

しかしそういったセットを作って練習しているにもかかわらず、本人はファーストステージをクリアしたことがなく、前回は「これでダメなら引退だ」というようなことを言っていたのだが、そう宣言しているときの表情が割と悲壮感のあるものだった。そして実際にまたファーストをクリアできず、引退してしまった。

本当に完全に引退したかどうかはわからないのだが、少なくとも今年の大会には出ていないようである。これは多分、山本慎吾のときと同じように、番組から「今回ダメだったら引退ね」ということを言われていたのではないか、と想像している。実質的な戦力外通告だ。しかし番組側もやっぱりテレビ番組である以上は視聴率がないとこの環境を維持できないので、その辺は本当にシビアだなと。

完全に実力主義の世界ではあるが、アイドルがアイドル枠で簡単に出てきてしまうのもまた実力である。当然、「旬のアイドルだから」出ているのであって、また来年は違うアイドルかもしれない。

全てが自分の思い通りに行くわけではなく、努力しても報われないことがある。そういったことを見せてくれる番組だから面白いのかもしれない。

余談だが、総合演出の乾さんは、本当はこういうバラエティー番組を作りたい人ではなく、ドキュメンタリーなどを作りたい人だったらしい。その能力がスポーツバラエティーと融合した結果、この番組に生かされたともいえるのだろうか。

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