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「寝ている時間は人生の無駄」は本当か?

「睡眠」について、専門家と成田悠輔氏が対談している動画を見た。

最近、いろいろなYouTube番組でこの先生を見かける。睡眠研究の第一人者である柳沢先生は筑波大学で睡眠を研究されているらしく、ノーベル賞ものの功績をあげられた方なのだとか。

いろいろなところに出演されているのは「睡眠」の重要性についての啓蒙活動という意味合いのようだ。確かに、睡眠については都市伝説的にいろいろなことが言われているけれど、体系的に研究している学者の話を聞く機会はあまりないので、なかなか貴重である。

成田祐輔さんとの対談動画だが、いろいろと本質的な話を聞くことができた。成田氏の踏み込み方というか、聞きっぷりがいい感じだな、とつくづく思う。

いろいろな話があるのだが、「眠らない生物はいない」というのが特に面白いな、と思った。人間はもちろんだが、動物全般、虫のような生物でさえ、睡眠をとるらしい。クラゲなども睡眠をとっているという研究があるのだそうだ。

ただ単なる休息とは違う「睡眠」という行為の最中は、意識を部分的に喪失しているわけで、外敵からの攻撃を避けられない。生存競争のうえでは明らかに不利なので、淘汰されていきそうなのだが、淘汰どころか「眠らない生物はいない」というのだから驚きである。

「眠る生物が多数派」ではなく、「眠らない生物はいない」というのだから、呼吸だったり、血液循環以上に重要な機能だということもできる。

まだ現代科学では「生物はなぜ眠るのか」の答えには到達していないということなのだが、何か生命の根幹にかかわる行為なのは間違いない。毎日必ず実行している生理現象ではあるが、なんだかロマンを感じる話である。

とはいえ、睡眠の重要性は以前よりは一般的に知れ渡っているのではないだろうか。昔の受験戦争においては「四時間睡眠なら合格して、五時間睡眠なら落ちる」という意味の「四当五落」という言葉があったらしいけれど、それは科学的には間違いだ。勉強で成果を求めるには、むしろ十分な睡眠時間の確保が大事、というのはわりと常識になりつつあるのではないだろうか。

柳沢先生によれば、「規則正しく寝て起きるのが大事」ということだ。いわゆる「寝だめ」というのはできず、休日に長時間睡眠を必要とするのは、単に「溜まった睡眠不足という負債を返しているだけ」ということらしい。当然、負債を抱えている状態ではパフォーマンスは落ちる。普段から、適正な睡眠時間を規則正しくとることが大事、と。

僕は朝型の人間なので、毎日十時半に寝て五時半に起きている。これは平日も休日も変わらない。たぶん普段から七時間は寝ているせいか、休みの日だから昼まで寝よう、などとは思わない。だから睡眠についてはわりと悩みが少ないほうだ。

睡眠不足だと、だんだん利他的な行動がとれなくなり、「嫌な奴」になっていくのだという。本当かな、と思うけれど、確かに寝不足の人で「いい人」というのはあまり思い浮かばない。

激務だった人がうつ病になって休職してしまう、というのはよく聞く話だが、あれは睡眠時間が十分にとれなかった負債が溜まってそうなるような気がしてならない。素人発想ではあるが、睡眠時間と精神疾患にはなんらかの相関関係はありそうだな、と思える。

お酒をほぼ飲まない自分にはあまり関係ないのだが、特筆すべきは「寝酒はよくない」ということだろう。お酒は摂取時は催眠効果があるものの、アルコールが分解されると今度は覚醒作用があるらしい。確かに、飲み会の帰りは眠いが、夜中に目が覚めてしまうこともあったりするような。

就寝前にお酒を飲む人は一定の割合でいると思うのだが、やめたほうがいいのかもしれない。

仕事でちょっと精神的に追い詰められていたとき、眠りが浅い時期があった。ストレスで眠りが浅くなり、睡眠が十分にとれないと日中のパフォーマンスが下がり、さらにストレスが溜まるという悪循環に入る。

最近はよい睡眠薬があるらしいので、ちょっとでも睡眠障害の症状が出たら、はやめに処方してもらうのがいいのかもしれない。

「寝ている時間は人生の無駄」のように言う人もいるけれど、自分はあまりそうは思わない。確かに寝ているときは一瞬のようにも感じられるけれど、シンプルに時間がワープするわけではなく、何かに夢中になっていて時間を忘れているような、そういう感じがするのである。

日中たくさん活動をして、脳もたくさん使った上でぐっすり眠ると、睡眠の質も上がるし、時間を有効に使えている気がする。たくさん動いてたくさん休む、と。

睡眠は生きる上では不可欠な行為なのだから、何か重要なことが行われているのだろう。睡眠に関する研究が進めば、もっと睡眠の重要性も一般的に周知されるかもしれない。

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