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いきなりいいものを買う必要はありますか?

僕は中学生ぐらいの頃から作曲を趣味にしている。当時、家庭にあったノートパソコンに作曲用のフリーソフトを入れて作曲していた。

大学に入った時にバイト代で自分のパソコンを買って、そのときに有料のソフトを購入した。それがだいたい2008年ごろのこと。それから、母体であるパソコンは何度か買い替えたが、ソフトは基本的にずっと同じものを使っていた。
 
僕が購入した当初から、それは最新機種ではなく、10年ぐらい前に作られたものだった。そのソフトで、おそらく500曲以上は作っただろうか。あまりにも操作に慣れ過ぎたせいで、新しいものを買い換えるのが億劫になっていた。
 
ソフトウェアなので、基本的に壊れることがない。もちろん、パソコンは物理的なものなのでそのうち壊れるが、たとえパソコンが壊れてもまた同じ作曲ソフトをインストールすれば使えるので、全く新しいものに更新する機会がなかった。

これは、実体をもたないソフトならではの特徴といえるだろうか。
 
ただ、確かにソフトウェアは稼働はするのだが、さすがに2000年ごろのソフトなので、不都合は出てくる。ソフトが古すぎるために、新しい音源をカスタマイズしようと思っても、母体が古すぎるのでうまくいかないことなどが出てきたりするのだ。

また、当然ながら、機能面でも不満はつのっていった。
 
だから、パソコンの買い替えと最新ソフトの導入は常に考えていた。でも、たとえばMacbook proを買ったら、中古でも10万円ぐらいするだろうし、ソフトも3万円ぐらいして、音源なども揃えたらたぶん総額で20万円ぐらいはするだろうな……、とちょっとその金額におののいて、しばらく後回しにしていた。

もちろん、趣味としての出費であれば、そんなにたいした金額ではないことはわかっているのだけれど。


 
でも、最近になって、いよいよソフトを買い替えないと作曲のモチベーションが保てない、と判断したので、自分が欲しいものに対してちゃんと予算を立てよう、と思った。20万円するならするで、そのぶんのお金を確保すればいいだけだし、ちゃんと計画的にやれば問題ないだろう、と思ったのだ。そして、メルカリでも中古のMacBookを探したりしはじめたのだった。
 
しかし、実際に探し始めて気づいたのだが、MacBook Proの中でもけっこうスペックはピンキリで、価格差があるな、と思った。そして、これだけスペック差があるのであれば、もしかしたらMacBook Proを買う必要はないかもしれない、と思い始めたのだ。
 
数年前にMacBook Airを購入して、主に文章を書いたりする用途で使用している(いまもこの文章はMacBook Airで書いている)。Proと比較するとスペック的には少し劣るので、これを作曲用に使うという発想はなかったのだが、もしかしたらスペック的にいけるのではないか……、と思って、試しにLogic proという作曲用のソフトをインストールしてみたら、どうも使えるらしかった。

ネットで検索してみると、確かにMacBook Proよりスペックは劣るものの、MacBook Airで作曲している人はいるようで……。なんだ、新しくパソコンを買わなくても、いま使ってるやつでもいけるのか。なんとも肩透かしを食った気分だった。


 
20万円ぐらいの出費を覚悟していたのに、なんだかんだで3万円ぐらいですみそうになったのだ。じゃあ今まで検討していたのはなんだったんだ、というような気分になるが、そもそも「新しいパソコンに買い替える」というのが先入観というか、自分の思い込みだったわけで、別にありあわせのものでもなんとかなった、というのが自分の見落としである。
 
もちろん、欲しくなったらまたちゃんと買えばいいのだけれど、とりあえずはこれでいいかな、と。先入観とはおそろしいものですね。

何か新しいことをはじめるときに、いきなり大きく出費をする人もいるけれど、まずは身の丈にあったもので様子見をするほうがいいのかな、と。

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