見出し画像

宇宙人はいますか?

場をつなぐための定番の質問で、「宇宙人はいると思いますか?」というものがある。

宇宙人として、いわゆる「グレイ」のような、明らかにヒト型の生物を想定しているのだとしたら、それは限りなく「いない」に近い、と思う。「地球外生命体」ということなら、それなりの確率でいるとは思うが、そういうのを一般的に「宇宙人」と呼ぶか、というとちょっと疑問が残る。
 
地球が誕生したのは46億年前だとされているが、宇宙ができたのは137億年前のことらしい。

まあもちろんこれは現在の仮説にすぎないので、大きく変わる可能性はあるが、個人的な感想としては、宇宙の年齢に対して地球の年齢というのはけっこう古いんだな、と思った。地球の年齢に比して宇宙の年齢が若い、と言い換えられるかもしれない。

生命が誕生したのは38億年前ごろだ、と考えられている。それに対して、人類の誕生はおよそ20万年前と、かなりの新参者だ。

よく言われることだが、地球の歴史を一年にたとえると、現生人類が誕生したのは、大晦日の23:37ごろだと考えられている。だから、もしもグレイのような「ヒト型」の生命が発見されたとしたら、それは宇宙人というよりも、現生人類となんらかの形で繋がりのある生命体だ、と考えるほうが自然だろう。

もし、現生人類と全く無関係の生命の枝から自然発生したものだとすると、そんなものが同時代に存在するということはちょっと考えられない。


 
やっぱり驚異なのは、たった数千年でここまで人類は文明を発達させている、というスピード感だ。

人類が登場してからでさえ、数十万年も経過しているのに、その期間の大部分いおいて、ほとんど文明らしい文明は発展しなかった。人類がひとつの「集団」として意識され、文字が発明され、出版革命が起きて叡智を次世代に伝えることができるようになってから、加速度的に発展が起きているような気がする。

そして、ここ数十年はインターネットの発明によって、その「情報の共有度合い」が指数関数的に速まっている。この文明の加速がどのぐらいのスピードでこれからも維持されるのかはわからないけれど、しばらくは続くのではないか、と思う。

そもそも、あと1世紀もいまのペースで発達すると、それこそおそろしいことになる。このペースでいくと、間違いなく人類は近い将来、滅亡するだろう。もしかしたら、大量の人口減が起きて、それからは人口が増えすぎないように統制する時代に入り、緩やかに衰退していくのかもしれない。

しかし、過去に発明されたものがアーカイブとしてこの世界に残っている以上、「風の谷のナウシカ」の世界のように大幅に衰退するということはおそらくないだろう(この世界にあるすべての図書館を焼き払い、インターネットのサーバーを破壊し尽くしたとしたら話は別だが)。
 
何が言いたいのかというと、いまの人類に見合うレベルの文明で、全く人類に無関係な起源の生物と「遭遇する」可能性はきわめて低いのではないか、ということだ。

もし、地球外生命体と接触する機会があったとしたら、それは地球人と遠い祖先が一緒だと考えていいだろう。もしかしたら、いまの生物だって、もともと地球にいたわけではなく、その「宇宙人」の住んでいた星から彗星に乗ってやってきたかもしれないのだ。


 
可能性があるとしたら、生物のような有機体ではなくて、ロボットのような無機物か、あるいは電波やコンピューター・プログラムのような、「情報そのもの」に近いようなものが地球に来訪する、ということぐらいだろうか。

疑問なのは、もしそのようなものがあったとしたら、なぜ今まで来なかったのか、ということだが……。
 
もしかしたら、地球がある一定の文明レベルに到達するのを待っているとか? ……そうやって考えていくと、少しはロマンがあるかもしれない。しかし、仮にそういう存在がいたとしても、遠すぎて、会いにいくのはずいぶん骨が折れることだろうが。

サポート費用は、小説 エッセイの資料代に充てます。