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穴場スポットはどこですか?

先日、ふと「そういえば、今年は初詣行ってないな」と思った。年始早々インフルにかかり、3日の朝からぶっ倒れていたので、行きそびれてしまった。

毎年、だいたい元日の昼ぐらいに実家近くの神社に行くのだけれど、そういえば今年は行っていないのだった。しかし、初日の出を見に行ったので、神社ではないものの、それがかなり「正月らしい」イベントだったかもしれない。

神社にいる太陽の神様(天照大神)にお参りしたわけではなくて、太陽そのものを拝んだわけだから、どちらかというと今年のほうが「お参りした感」は強い。こういうのは気持ちの問題だから、別にこれでいいのだろう。

実家が三重県四日市市というところで、奥さんと帰省していた。海沿いなので日の出はよく見えると思いきや、意外と見れる場所が少ない、ということを知った。

海沿いではあるものの、沿岸は多くが石油コンビナートとなっており、企業の持ち物なので、一般人が入れないのだ。仕方がないのでネット検索してみると、公園となっている箇所があり、そこの堤防からであれば日の出が見える、ということだった。

父は地元で生まれ育ったので聞いてみると、確かにそこはいい場所かもしれない、ということだった。なんとなく、ちょっとした穴場スポットなのかな、という感じがした。

元日の朝。日の出は7時ぐらいなので、わりとそこまで早起きをする必要もなかったが、駐車場があまりなさそうなので大丈夫かなあと心配しつつ、6時すぎに家を出た。

最初のうちは閑散としていたものの、だんだん車が増えてきて、目的の沿岸公園に近づくころにはまるでライブ会場でもあるのかというぐらいの長蛇の列になっていた。当然、駐車場に近づくこともできず、そのへんの路上で縦列駐車するしかなかった。

堤防は階段があるのでそこから行こうと事前に思っていたのだが、人がすごすぎて、そもそも隙間がない。数十メートルほど歩くと隙間は一応見つかったのだが、今度は階段から遠くて登れない。

なんとか頑張って周囲の人の助けも借りながら堤防によじのぼり、初日の出を堪能した。

実際には周囲に人がたくさんいるのもあって、「正月気分」はけっこう味わうことができ、よかったと思う。しかしそれにしても、こういった「日の出スポット」みたいな情報はみんな掴んでいるんだな、と思った。

いまの日本にはおそらく「穴場スポット」というのはもうないのだろう。ネットで調べたらなんでも出てくるので、よいものは簡単にシェアされる。そもそも自分たちがここを見つけたのだって、ネットで「四日市の日の出スポット」を検索したから、なわけで。

真の穴場スポットはもはや自分で探すしかないのだろう。そして、いったん見つけたら、誰にも教えず、ネットにも書かず、自分ひとりで堪能するしかない。誰にも見つからないことを祈りながら。

しかし、いまの日本にそれはどのぐらい残されているのだろうか……。


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