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依存とトラブルについて

うちの奥さんとはまだ喧嘩をしたことがない。会社の同僚など、ただ同じ空間にいる、というだけで諍いになってしまうケースもある中で、毎日ずっと一緒に過ごしているのに衝突がない。

不思議な感じはするけれど、この状態が「自然」なのだから、まあいいのだろう。
 
一人暮らしが長い人は、結婚するとうまくいかない、と言われる。一人暮らしの長期化によって、自分のペースが確立されてしまい、他人と合わせることができない、という理屈らしい。

他人を観察していると、確かにそういう面はあるように思う。友人でも、一人暮らしに最適化しすぎて、結婚が考えられない、という状態になっている人を何人か知っている。
 
僕は2011年に新卒として社会人になり、そこから一人暮らしをはじめたので、約10年間、一人暮らしをしたことになる。確かに、掃除と洗濯、食事は自分でなんとかしていた。

実家のように、黙っていても誰かがやってくれるわけではないのだから、当然のことだ。でも、当然ながら自分ひとりのためにやっていることなので、家事の優先順位はかなり低かったように思う。

たとえば、洗濯はため込むとかえって面倒になるので、毎晩、家に帰ったら洗濯機にワイシャツを放り込み、その都度洗濯をしていた。当時使っていた洗濯機は、一人暮らし用のモードがあって、少ない水で洗濯してくれるから、所要時間も短い。

それを手早くハンガーにかけ、サーキュレーターの風にあてて干す。それを翌朝ひっぺがして、アイロンをかけて、着る。その繰り返しだった。

それでも、「自分でひと通りのことはやる」というのはやっていた。

でも、結婚して、奥さんと暮らし始めると、明らかに生活コストを下がったというか、「いろいろやってもらえる」のでストレスが少ない。

自分の仕事は朝に掃除機をかけることと、朝食を作ることぐらいだが、一応は身の回りのことをすべてやっていた独身時代と比較すると、やることの総量はかなり減った(そのぶん奥さんに負担が寄せられないように注意はしている)。

そして、二人で暮らしているから、家事の量が二倍になるわけではないのだ。どうせ一人でもしなければならない家事がほとんどだから、ふたりでもあまり変わらないぐらいかもしれない。
 
人間関係のこじれは、相手に何かを期待するから起きるようだ。「自分はこういうことをやってあげているのに、相手は何もしてくれない」。こういう気持ちが、不満になり、ストレスになり、トラブルにつながるのだろう。

いまの段階は、独身時代に自分がやっていたことを相手がやってくれているので、「ありがたい」という感覚しかなく、それがうまくいっている要因のひとつなのかもしれない。

会社でも似たようなものだ。相手に期待して、依存をしているから、やってもらえなかったときに怒りがこみあげる。会社だったら、お互いに仕事でやっていることなので、やるべきことをやってもらえなかった場合は相手がサボっているだけなのかもしれないが、それにしても、過度に依存するのは危険かな、と。

自分でできることは自分でする。人間関係がこじれはじめたときは、それを思い出すといいかもしれない。

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