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超短編|繰り返す

 今日、愛しい娘が産まれた。

 私の母は一年前に亡くなったのだけれど、私の耳には今、嬉しそうな母の泣き声が届いている。そして私はこれから、娘が二十歳を超える頃まで共に生き、命を終える。娘にまた会えるのは、きっとここと同じ分娩室だろう。私はそこで大きな産声を上げるのだ。

 そう、これは二人の間でずっと繰り返されてきた、私が母を産んだ日の話。

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