17-0219-オリジナル4_浦島太郎-v2

老いを計算に入れる

ジャーナリストの奥田祥子さんが描いた『男性漂流』(2015/講談社+α新書)という本がある。

数年前に読み、恋愛の話を誰かがしているのを見聞きするたびに思い出す本。著者の奥田さんが複数の男性を数年にわたって取材し、男たちが恋愛の何に悩み、どう向き合っているかが語られている。

そこでは「誰とも恋愛関係を結べない」と悩んでいた男性が、数年後に恋をしており、一方では、若い子にモテていつも遊んでいた男性が、数年後には体の衰えを感じ悩んでいたことだ。

いまうまくいっている人が、数年後にもうまくいっているとは限らず、その逆もある。ということをぼくはこの本から学んだ。

男女で恋愛に対する認識が違うのかどうなのか、ぼくには全くわからないが、個人的な感覚でいうと、男は基本的に「今を生きている」。
**だからこそ、年単位で先を予想するとき、強く意識しない限り、男は肉体の衰えを加味できない。 **

男女ともに年齢を重ねるのは同じだけど、鏡を見る回数が違うため、男は老いを意識するのが遅れる。
**年を重ねるたびに全身から老いを発する一方で、年を重ねるたびに鏡を見る時間は減っていく。 **

ここから炙り出せる行動指針は

・人は老いるのだということを前提に計画を立てる
・先人の老いる様から目をそらさない

である。
外見的にもインナーマッスル的にも。

何歳からか忘れたが、人は何歳だかをすぎたら筋肉維持のための筋トレが必要らしい。インストラクターの人が言っていた。

「少しでも体が衰えないように」という意味もあるけど、日々体を意識することで、老いていく自分に気づいておきたい。

これから超高齢社会が来る。来ている。そのとき、どれだけ老いを人々が共有できるかが、意外と大事な問題なんじゃないかとも思っている。核家族で老人のいない家庭で育つと(ウチもそうだが)、老人がなぜこれだけ動けないのか、どれほど疲れやすいのか、理解しにくい。
『未来の年表』(2017/講談社新書)などを見つつ、自分が「20XX年に何歳になるか」を把握すると意外とビビる。2020年、2024年、2043年…。格差社会では、老いを避ける予防医学を十分に受けられる層と、老いを現在と同じく体感するであろう層に分かれると思う。


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