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初めての台湾旅行 vol.0

ガラガラガラガラ…
朝の静けさの中で響くその音に少し緊張しながら急ぎ足でスーツケースを引く。私はこの日、約10年ぶりの海外旅行に出かけるために関西空港に向かっていた。

行き先は台湾。ヨーロッパ圏にしか行ったことがない私にとって初めてのアジア旅行である。この日の準備には余念がなかった。とっくの昔に期限を迎えていたパスポートを再取得したことを皮切りに即台湾旅行を予約し、YouTubeとガイドブックで台湾情報をチェックし、文化の違いを調べ上げ、必要なものを少しずつ揃えていった。

台湾では紫外線量が日本の2〜4倍と知り帽子も新調。人生で一度もかけたことのないサングラスまで手に入れた。父からスーツケースを借り、盗難対策にスーツケースベルトが良いと聞いたので旅行の前日に急いで買い足した。

全くもって慣れていない。海外旅行初心者感が丸出しで自分でも笑ってしまうが、その不慣れさが国内旅行とは違うのだという実感を私に与えた。その時間がとても新鮮で楽しかった。

海外旅行で体調を崩す確率が今のところ100%なので旅行保険にも加入し、整腸剤も確保。水も一応持参することにし、スーツケースにどんどん詰めていく。今回の旅は2泊3日。スーツケースの大きさは4,5泊程度に対応できる大きさなのでかなり余裕がある。スーツケースの半分どころか1/4は空の状態。忘れ物がたくさんあるのではないかと多少の不安を抱えつつも旅支度を終えた。まぁ海外といえど足りないものは現地で調達すればいい。

何度も何度もパスポートが入っているか確認し、これまた旅行のために購入したボディバッグを肩に掛け、スーツケースをしっかりと握りしめて家を出た。

目指すは関西空港。JR天王寺駅から「関空/紀州路快速」へ乗り込む。関西にお住まいの方はご存知かもしれないが、この電車は結構難易度が高い。車両の前方と後方で最終到着地が違うのだ。日根野駅までは1本の電車として運行しているものの、その後片方は関西空港へ。もう片方は和歌山へと向かう。つまり間違えては行けない最初の難関である。

前情報によると前方1〜4号車が関西空港行き。後方5〜8号が和歌山行きである。ということは、前の方の車両に乗り込めば間違いがない。進行方向2両目、私と同じくスーツケースを持っている親子の後ろに並び乗り込んだ。ここから関西空港までは約50分。恐らく同じ旅行者であろう見ず知らずの親子の隣でほんのひととき列車の旅を楽しむことにする。

私は大きなスーツケースを持ち「バカンスモード全開」であったが、この日は金曜日の朝。電車はスーツや制服を着た人々で混み合っていた。混んでいる電車に大荷物を持って乗り込むなんて迷惑だよなぁと申し訳なく思いつつも、バカンスへ向かうちょっぴりの優越感を感じていた。

一駅進む毎に増えていく学生。ホームに目を向けるとスーツケースを持って走る人々。うーん、非日常感。いつもと違う風景を見ていると、いつもと違う場所に行くのだという実感が湧く。予定では後10分で関西空港に着くはずだ。

電車が走り出し、そろそろりんくうタウン駅に着くと思われた頃。

〜〜〜車内アナウンス〜〜〜
「次は和泉砂川~和泉砂川です。和泉砂川を出ますと、次は紀伊に止まります」

!!?
あ、あれ?紀伊って和歌山…だよね…あれ?りんくうタウンは???

周りを見渡す。そういえば関西空港に向かうにしては学生の数が多すぎる。そして、いつの間にか消えているスーツケースを持った親子。そこで私はようやく理解した。なぜ一駅進むごとに学生が増えたのか、なぜ駅のホームでスーツケースを持った人が走っていたのか。これはあれだな、普通に電車を間違えた…!!!

それまでバカンスモードだった私の頭は一気にフル回転を始めた。和泉砂川駅から電車で折り返した時の到着時間を調べつつ、タクシー情報も調べ、とりあえず旅を共にする友人に予想到着時間をLINEした。

今回の旅は航空券とホテルがパックになった個人ツアーの旅行である。特に旅先案内のガイドが付いているわけではないので何か起こっても基本的には自分たちで解決するしかない。旅行会社からは8時40分必着で国際線カウンターに来てくれと言われていた。

電車で折り返すと関西空港駅着が8時32分。8分でカウンターまで行けるだろうか?タクシーの方が早いのかもしれないと和泉砂川駅で一旦改札を出る。すぐ左手にタクシー乗り場を発見するも、タクシーは1台も止まっていない。乗り場に記載してあるタクシー会社に電話してみたところ、タクシーが戻るのは何時になるか分からないとのことだった。

そうすると電車しかない。折り返しの電車に乗ることには成功したものの、私にはまだ「関西空港駅から8分で国際線カウンターに向かう」というミッションが残されていた。宿敵である日根野駅で乗り換えをし、電車が発車するまでの時間で関西空港駅から国際線カウンターへの行き方を写真付きで解説してくれているブログを読み、後は迷わないことを神に祈った。特定の宗教に入っているわけではないが、こんな時は祈るしかないのである。

ざわざわした気持ちのまま電車が日根野駅を出発するのを待っていた。

「日根野ってさ、電車の切り離しあるから停車時間長いよね~」
「うん、ってかこの電車って紛らわしいよな~」

後ろからはカップルのこんな会話が聞こえてきた。うんうん、私もそう思う。紛らわしすぎる。完全に同意!

「そういえば〇〇さん、ここで乗り換えミスって和歌山いったらしいで」
「えっ!まじで!やばいやん!!!ほんま気付けなあかんな。この電車は大丈夫やんな?」

・・・・・・。
タイムリーに私の話をしているんじゃないかと思う内容に思わず笑ってしまった。変な方向に高揚している私のテンション的には後ろを振り返り、「それ分かります!実は私も今和歌山行っちゃって大変だったんですよ~!」と入りたくなったがぐっと我慢した。関西空港駅に着き、心の中でカップルに別れを告げて私は走り出した。

時刻は8時33分。ここからの道はばっちり予習した。同行者の友人からは「4階Bカウンター!」と連絡が入っていた。それさえ分かればもう大丈夫。友人よ、ありがとう!到着したのは8時39分。なんとか間に合った!正直旅の始まりがこれでは先が不安すぎるのだが、このドタバタが日本で良かった。やらかした自分は日本に置いていこう。ここから楽しい旅が始まるのだから。


初めての台湾旅行 vol.1

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久しぶりの旅とはいえ、こんなにも序盤からドタバタになるとは思っていませんでした。旅が始まる前から大変だったわけですが(自業自得)、次の記事からはちゃんとした旅行記となる予定です。

そしてここでちょっと補足。旅行会社から8時40分必着と言われていたのでその時刻にチェックイン〆切かと思いきや、「8時40分から受付開始」でした。チェックイン自体はネットでも出来るわけだし、フライト時刻は11時10分なので10時とかに着いても行けたと思う。海外旅行慣れしてないので分からなかったのでした。チャンチャンッ☆

それにしてもなんで電車を間違えたんだろう。車内アナウンスを聞いてなかった自分が悪いのはもちろんですが、関空快速って前方4列のはず。そして私は前から2列目にのったはず。多分。なのになぜ和歌山に行ってしまったのか疑問だったので調べてみた。そしたらYAHOO!知恵袋にこんな質問が。

この質問主さんも前4両は関空、後ろ4列が和歌山と記憶していて、それなのに当日は逆になっていたと。日によって行先が逆になるのか?という質問。

アンサーは、基本的には前が関空、後ろが和歌山で間違いがない。でもダイヤの乱れ等の影響で稀に逆になっていることがあるというものでした。

正直私は自分が本当に前方車両に乗れていたか自信がないので、アンサーで言うところの「稀に」に含まれていたのかは分かりません。でもそういうこともあるようなので、もし関空快速に乗られる際はくれぐれも車内アナウンスに気を付けてください!!!

私のようにバカンス気分に酔っていると痛い目に合うかもしれませんので。あしからず。

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