【武器になる哲学】07 報酬ー人は、不確実なものにほどハマりやすい

「人はなぜソーシャルメディアにハマるのか」という問題に、ここでは「脳の報酬」というコンセプトから考察してみましょう。

報酬系に関する研究の嚆矢にスキナーという人がいます。

スキナーは、次の四つの条件を設定し、ネズミがもっともレバーを押し下げるようになるのはどの条件下か、という実験を行いました。

  1. レバーの押し下げに関係なく、一定時間間隔でエサが出る=固定間隔スケジュール

  2. レバーの押し下げに関係なく、不定期間隔でエサが出る=変動間隔スケジュール

  3. レバーを押すと、必ずエサが出る=固定比率スケジュール

  4. レバーを押すと、不確実にエサが出る=変動比率スケジュール

さあ、あなたはどれが答えだと思いますか?

スキナーの実験によると、レバーを押し下げる回数は、上記の4→3→2→1の順で減少することがわかっています。この結果について、特に注意してほしいのが3よりも4の条件の方が、どうもネズミが動機付けされているらしい、という点です。

ソーシャルメディアが人に与えてくれる報酬はドーパミンです。

最近の研究では、ドーパミンの効果は人に快楽を感じさせることよりも、何かを求めたり、欲したり、探させたりすることであることがわかってきています。

ちなみに最近の研究では快楽に関与しているのはドーパミンよりもオピオイドであることがわかっています。欲求系=ドーパミンにより特定の行動に駆り立てられ、快楽系=オピオイドが満足を感じさせて追求行動を停止する。

そしてここが重要な点なのですが、一般的に欲求系は快楽系より強く働くため、多くの人は常に何らかの欲求を感じて追求行動に駆り立てられているのです。

ドーパミンシステムは、予測できない出来事に直面したときに刺激されます。

なぜソーシャルメディアにハマるのか?それは「予測不可能だから」というのが、近年の学習理論の知見がもたらしてくれる答えだということになります。

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