雑記「『ラディウス / (r)adius』を見た」

ぬああ!
くっそ面白かった!

※ネタバレ注意!※


やばいわ。大当たり。いやすごい面白かった。

近づく人間を即死させてしまう主人公と、その能力を止められるヒロインの物語。二人は記憶がなく、記憶を取り戻す手掛かりを探していくのだが……というかんじ。

私はこういう話が大好きなようだ。最後まで面白く見ることができた。「ヒロインから離れると能力が発動してみんな死んでしまう!はやくヒロインの元へ行かなくちゃ!」という緊迫感はなかなかで、気が付けば口をぽかんと開けてみていた。

終盤も良くできていた。どんでん返しというやつだ。実は主人公が極悪人だったとは。もっとも、記憶喪失ものでは定番なのかもしれない。見る人が見たら容易に想像できたのかもしれないが、私は先の展開をあんまり考えないので、素直に驚いて楽しめた。

能力の正体は最後まで不明

SFで能力モノだったが、作中で能力の正体に対する明確な回答は無かった。かろうじて宇宙関係ということがわかっただけだ。どうしてそんな能力を授かったのか、どうしてヒロインがいれば能力が止まるのか、ということは分からない。
だが登場人物たちのドラマがきちんとまとめられていたので面白かったのだと思う。主眼はあくまでドラマだ。


中盤の中だるみについて

このテの正体不明に立ち向かう話は、主人公たちの目的が難しい。恐ろしい能力を解消することが最終目的だが、作中、その具体的な方法が分からない。だから何をすれば解決するのか見えてこない。

○○をしろだって?そんなことできるわけない!
というのと、
〇○ってなんなんだ!一体何をどうすりゃいいんだ!
という違い。
空を飛ぶことに挑戦するのはわかりやすいが、雲を掴む手段は見えてこない(この例え合ってるか?)。

記憶を取り戻して能力を解消する糸口を探すということを目標に動いていくわけだが、「どうなったらこの話が終わりなのか?」という疑問が残り続け、中だるみになっているのだと思った。


少し無責任?

ラスト、主人公は傷ついたヒロインを病院へ運ぶ。ヒロインは担架に乗せられて運ばれて生き、主人公はヒロインから離れることで能力が発動する直前で自死を選び能力を解消する。だがこの時点で「死ねば能力が消える」という確証は一切無い。主人公はあくまで贖罪のために死んだのだろうと考えれば良いが、少し無責任じゃないか?という気もした。もし死んでも能力が解消されなかったら、病院で殺戮が起きていたわけだし。

じゃあどういう流れにすればいいのかといえば、やっぱり能力について詳しく知っている人物を出さなければならない。例えば、同じように能力を持った人がいて、そいつが死んだら解消された前例を見せるとか? でもそんな尺どこにもないし、出してたらまた別の話になっただろうという気がする。だからこのラストはこれでいいのだ。


主人公の受け身の時間が長い!

主人公が事態解決に向けて動き出すまでに非常に時間がかかっている。これも物語の足を引っ張っていると思う。
つまり、
①なんか人が死んでる。ウィルスか?
②主人公が近づくと人が死ぬようだ。
③でもヒロインがいれば大丈夫なようだ。
④警察に捕まったら引き離されてしまう。そうしたら近くの人はみんな死んでしまう。
⑤能力を解消しなきゃ。そのためにはまず病院へ行って調べてもらおう!
と、ここまでの尺が長すぎるのだ。とはいえ話のコンセプト上避けては通れないし、仕方ないのかもしれない。

ちなみに、こういうことは私も自分の話でよくやってしまう。ファンタジー世界で、最初の説明にページを割き過ぎてしまうのだ。注意が必要です。はい。

でも結局面白かったんだけどね。

音もなく、容赦もなく、何かの間違いのように善良な人々が死んでいく描写は素晴らしかった。能力は目に見えないという点がまた良い。Mナイトシャマランの「ハプニング」とかもそうだった。やはり目に見えないことは何にも勝る恐怖なのだ。

ちなみに。youtubeの予告からこの映画を知ったが、今予告を見直してみると重要なシーン全部出ちゃってるな。予告から見ると初見感が薄れてしまう。それでも面白さに変わりはないが。

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