[第2回] きちんと「合理性」を学ぶ“効用” --- 消費者理論

講義ウェブサイトはこちらです。
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第2回目の講義の二日前に、初回の講義で紹介したナッジの生みの親でもある行動経済学者のリチャード・セイラー米シカゴ大学教授が、なんとノーベル経済学賞を受賞!

というわけで、講義の予定を大幅に変更して、セイラー教授の業績のうち、限定合理性(「心の会計」)と社会的選好(「公正さ」)について紹介した後で、伝統的な経済学でなぜこれらの要素が捨象されていたか、を典型的な消費者問題(効用最大化問題)を示しながら解説しました。

さらに、誤解されがちな「合理性とは何か?」という問いについて、経済学の標準的な合理性(合理的な選好)の定義を紹介。オマケで、効用関数の定義と、関数が存在するための条件についても言及しておきました。

その中で、
・合理性はざっくり言うと好みの首尾一貫性のことを指している
・行動経済学の研究は、合理性を満たさない人間の分析とは限らない
・むしろ、より幅広い好みをもつ“合理的な”人間の分析が少なくない
という点を特に強調しました。

【板書】
・「合理的な選好」の定義はしっかり覚えましょう!(完備性(Completeness)と推移性(Transitivity)を満たす選好のこと)
・経済学(消費者理論)で当たり前のように登場する「効用関数」と、人々の好み(「選好」と呼ぶ)の関係についてもしっかり押さえてください。

次回は、教科書に指定した大竹 文雄先生の『競争社会の歩き方』(豊富な内容・読みやすさ・お手頃価格、と三拍子揃った名著です!)の第1章をもとに、「チケットの転売・販売問題」について考える予定です。本が書籍部にも入荷されてるので、ぜひしっかり読んでくるように!

ノーベル賞の受賞理由となった「行動経済学」については、先日アップした以下のブログ記事をぜひ参照してください。
今年のノーベル賞「行動経済学」:オススメ文献

選好については、英文となってしまいますが、次のスライドが参考になるかもしれません。
Introduction to Decision Making Theory

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